会計業界の起業人
税理士法人レガシィ
代表社員天野 隆
総資産10億円以上の富裕層を顧客対象に、相続に特化した総合コンサルティングを手がける税理士法人レガシィ。スタッフ数124名で、その相続税の申告等件数は、2010年9月末現在で累計2256件、国から戻した累計税額は56億円にも上る。
「財産規模が大きくなればなるほど、相続をめぐる問題は多岐にわたります。しかもその権利関係は複雑で、裁判に持ち込んだからといってスムーズに解決するとは限りません。そこで、相続人それぞれの事情を十分に理解し、相続後の生活設計まで提案できる私たちのような専門家が求められるのです」
そう語る天野氏は、財産を先人が残した「思いを達成する基盤」と考え、その思いの承継をサポートする会計プロフェッションとしての志を「レガシィ」という社名に託している。
「遺産分割の話がこじれたり、相続税の納付期限が迫っている時などは、かなりのプレッシャーがのしかかります。けれど、お客さまの思いを叶え、問題解決できれば、必ず喜んでいただける。本当にやりがいのある仕事です」と明言する天野氏が、公認会計士を目指したのは慶應義塾大学2年生の時。父親は、東京・京橋でスタッフ3人の税理士事務所を営んでいた。
「レイモンド・チャンドラーの『強くなければ、生きてはいけない。優しくなければ、生きる資格がない』という言葉が好きで。いわゆる“職業会計人”として、そうした生き方を自分に課すのもいいかなと思ったんです」
父は特に強く勧めるようなことはしなかった。息子の決断に表情も変えず、心ひそかに喜ぶタイプの人だったようだ。それから間もなく天野氏は、慶早戦で沸きかえる友人たちを尻目に、神宮球場近くの専門学校へと通い始めた。
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税理士法人レガシィ代表社員天野 隆
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