熱き会計人の転機
合同会社Meteore 代表社員
Lune株式会社 代表取締役 公認会計士下田 慎也
公認会計士を志したきっかけを教えてください。
大学時代に留学したイギリスのビジネススクールでは、マーケティング、ファイナンスなどビジネスの専門分野を学ぶことができました。将来は起業するかコンサルティングをしたいと考えるようになったのですが、日本で通っていたのは教養学部であり、専門的な講義が受けられません。それに、どこか行きたい企業を1つに絞るのも難しいと感じました。もっとビジネスを広く学びたい、そう思った時、選択肢に上がったのが公認会計士の資格です。公認会計士になれば、監査業務を通じて多様な企業のベストプラクティスを見て回れるだろう、と。
入所したあずさ監査法人では、どのような業務を?
一部上場企業を中心に、監査にあたりました。なかでもグローバル展開している総合商社の監査を担当できたのは大きな学び。英語による業務や、国際会計基準の実務を経験できました。入所翌年にインチャージを経験し、4年間在籍しましたが、監査法人で学べることは学んだ手応えがあり、2018年に退所しました。
その後、転職したのはIT企業でした。
今も「どの分野が得意なのですか?」とよく聞かれるのですが、監査法人時代に銀行以外はほぼ全業界を見ました。業界にこだわりはなく、自分にできることがあるならどこでも、という気持ちでしたね。転職したIT企業ではバックオフィスの立ち上げに始まり、入社翌月には四半期報告書等の作成責任者に。のちにM&Aや資金調達、PMIなども担当しました。
IT企業に在籍中の21年7月には、自身の会社Meteoreを設立しています。
MeteoreではIPO支援、財務デューデリジェンス、IFRS導入支援などのコンサルティング業務を提供しています。ミッションは「We Support a Sustainable Growth」。監査法人出身者のなかには会計基準に詳しい反面、事業のスピード感についていけない人もいます。その点、我々は顧客第一主義を徹底。同じ業務をするなら、成果を出すスピードの早いほうが価値は高いと考えています。
続いて22年1月には、事業会社Luneを起業しました。
Luneは、GAFAのようなプラットフォーム事業を志向しています。今稼働しているのは、月に1度経営者を集めてオフラインで交流会をするコミュニティ「Lune」です。またオンラインのサービスとしては企業の〝受付〟アプリの開発に着手しています。現在は各社まちまちですが、全部一つにまとめてしまえば膨大なデータが手に入り、様々な活用・展開が考えられると期待しています。将来的には、コンサルのクライアントがLuneのクライアントにもなるようなシナジーを生み出せたらと。
Luneの経営理念は「Create the Planet」。既存の枠組み内での解決ではなく、前提を覆すような変化を目指します。私は根がわがままなせいか(笑)、普段から「ここが不便だな」「解決したいな」と思うことが人より多い気がします。ほかにもいろいろ、事業アイデアを練っているところです。
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合同会社Meteore 代表社員Lune株式会社 代表取締役 公認会計士下田 慎也
インターン生(大学2年)
Meteoreで学生インターンをしている大学2年生です。下田さんが抱えている案件から生じる事務作業のお手伝いをしているのですが、「そばで勉強させてもらっている」といったほうが私にはしっくりきます。私自身は大学の工学系で学んでおり、このまま順当にいくと会計とは縁遠い仕事に就く可能性が高い。でも会計なり経理なり、会社のお金の流れを知ることは将来どんな仕事に就くにしても役に立つはずだと思っています。
下田さんはおそらく天才型で、飛び抜けた才能を持っている人ですね。“変わり者”というわけではないのですが(笑)、一般的な会計士の雰囲気とは違いますよね。仕事をしていても、人よりも一歩二歩先を見ているところがあります。こういう才能があるから自由を得られるんだな、と思える人です。