事務所探訪
グラントソントン太陽ASG税理士法人
世界100カ国以上にネットワークを持つ国際会計事務所グループ、グラント・ソントン(本部=ロンドン)。その「日本メンバー」である太陽ASGグループの一員で、2002年に税理士法人として設立された同社の陣容は、3名の代表社員とパートナー12名を含む総勢87名。37名の税理士をはじめ、公認会計士、社会保険労務士、米国公認会計士などの有資格者を擁する専門家集団である。
国際・国内税務に関する総合的なアドバイスを提供する同社は、グラント・ソントンの国際ネットワークをフル活用することで、グローバルなサービスを提供できるのが、大きな強みとなっている。例えば日本企業の進出が相次ぐ中国関連事業。
「4、5年前に専門部署を設け、中国人スタッフが直接アドバイスできるかたちにしました。さらに中国のメンバーファームと現地にジョイントベンチャーをつくり、日中のチームが協力し合える支援体制も整えました」と語る、石塚洋一統括代表。ほかにも、やはり日本企業の関心が高い米国にも日本人スタッフを常駐させており、今後は東南アジアをはじめクライアントが重視するロケーションで、さらなるテコ入れを図る計画だ。
ところで話を進めるうち、石塚氏は「当社のスタッフには、特定の上司がいないんですよ」と、意外なことを口にした。
「アサインメントごとに、パートナーを責任者としたチームを組みます。だから案件によって“上”が変わる。スタッフには、プロフェッショナルとしてのキャリアを築く過程において、自分が究めたいと思える専門領域を見つけてほしいのです。でも、それを見つけるまでの間は、国内外問わず様々な種類の仕事を経験してもらったほうがいい」
経験を積めるのはいいが、逆に一貫した教育がしにくくなる懸念もある。しかしその点は、スタッフ一人ひとりに、パートナーを中心とするCPN(キャリア・パス・ナビゲーター)をつけることで解消。中でも海外ネットワークを活用したインターナショナル・トレーニングは圧巻だ。
「税務に関する5つのコースが設定されていて、すべて海外で数日間、中身の濃い研修を行います。希望すれば、入社1年目でも参加が可能。さらに、もっと長期で学びたい人には、1年半程度の研修を他国のメンバーファームにアレンジすることもできます。年間のべ20〜30人は海外に出ていますね」
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