熱き会計人の転機
株式会社ケップル
代表取締役CEO神先 孝裕
公認会計士を志したきっかけを教えてください。
神先18歳までサッカー一筋でプロを目指していました。しかし、高校の決勝戦で敗退し、その夢を断念。代わりの夢を探していた大学時代に、学食に置いてあったパンフレットで偶然知ったのが公認会計士という資格です。親族が皆経営者だったこともあり、独立につながりそうな資格であることも会計士を選んだ理由。昔から「雇われるな、雇え」と言われ続けていましたから(笑)。
公認会計士試験合格後、大手監査法人に入所されました。
神先国際事業部に配属になり、国内大手企業と外資系企業の監査を担当しました。遠からず独立をと考えていましたが、入所後半年間は基本的なビジネススキルの習得で精一杯。そこから次のステップを考え始めました。もともとスタートアップに興味があったのでIPO支援部門に異動を願い出たのですが、それは叶わず。結果的には入所3年で退職し、個人で会計事務所を開業しました。実は、監査法人1年目、スタートアップ支援企業に自分の事業アイデアをプレゼンしにいったこともあります。でもケチョンケチョンの評価で……。やはり、まずは自分の知識と経験が生かせる会計事務所から始めようと考えたのです。
スタートアップ支援に軸を置き、会計事務所としての差別化を図られています。
神先そこにつながるきっかけは、顧問契約した22歳の起業家との出会いです。自分より5歳も下の若者が何千万円という出資を受けて事業を展開している――衝撃を受けました。クライアントの税務支援も大切ですが、夢を語って攻めまくる起業家の相談に乗っているほうが断然刺激的なわけです。当時はスタートアップ支援を軸とする会計事務所が少なかったこともあり、付き合いのあった起業家の方々の口コミだけで、すぐに数十件の問い合わせが寄せられるようになりました。
主な業務内容は、記帳代行、税務顧問、法人税の申告などでしたが、私が一番得意なことは投資家から起業家が資金調達をする際のアドバイスでした。起業家が頭の中で思い描く事業の未来をお聞きし、そのために必要な資本政策を考え、数字と計画で理論武装する。この資金調達支援が次々にかたちとなり、私の業界での知名度も高まっていきます。しかし、会計事務所のフィーには限度があり、働き方も労働集約型です。スタートアップのように、大きな拡大は望めません。徐々に自分だけ取り残されていくような悔しさがこみ上げてきました。このままではダメだと。
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株式会社ケップル代表取締役CEO神先 孝裕
株式会社ケップル
神先は“この指とまれ”が非常にうまいですね。人がまだ見いだしていない未来を描き、その実現のために仲間を巻き込んでいく手腕にかけては天才的だと思います。また公認会計士というと普通、他者がつくった数字を扱う仕事と考えられがちですが、神先の場合は自分で数字をつくることに強い関心があります。それも、効率よく数字をつくることより、まだ誰もやっていない事業で社会に影響を与えることに懸けている。やりたいことがはっきりした、ビジョナリーな経営者ですね。神先と同じく公認会計士という枠組みに縛られず、ビジネスを通じて何か大きなことを成し遂げたいという強い思いを持たれた方にとっては、稀有でエキサイティングな経験が得られる非常に面白い会社です。