The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社Macbee Planet
取締役 経営管理本部 本部長千葉 知裕
監査法人を経て事業会社に転職し、1年半でIPOに導いた千葉知裕氏。その会社Macbee Planet(マクビープラネット)は、独自の「LTVマーケティング」を武器に成長を継続。現在、時価総額1000億円、年商1000億円、平均年収1000万円の3つを目指す「トリプルサウザンド」計画が進行中だ。「達成欲が異常に強い」と自己分析する千葉氏の原動力とは、また同社CFOとして千葉氏が果たす役割とは何かを聞いた。
生まれ育ったのは宮城県古川市(現大崎市)。郷土愛が高じ、千葉氏は10代にして「地元で事業家になりたい」という夢を抱いた。「とはいえ、何をどうしたら経営者になれるのかわからなかった」。高校に進んだ頃は、とりあえずは文系トップの国家資格である弁護士になりたいと考えていた。
「弁護士なら、いつか地元に戻った時に活躍できると思ったのです。でも、大学に進学して法律を学ぶにつれ、『おそらく司法試験を何度受験しても自分は合格できない』と直感。そこで思い出したのが高校時代の先生の言葉です。『君には弁護士より公認会計士のほうが向いていると思う』。確かに私は相手を論破するようなコミュニケーションが苦手。一方で数学はものすごく得意でした。実際に会計士試験の勉強を始めてみたら『これは受かりそうだ』という手応えが。結果、大学在学中に無事合格することができました」
大学卒業後はあずさ監査法人(当時)に入所。会計監査、IPO支援業務、財務デューデリジェンスなどに従事し、8年間勤務することになる。だが千葉氏は1年目にして「自分は監査に向いていない」と痛感していた。
「帳簿をチェックしたりするのが本当にしんどくて。それでも8年間在籍したのは、一つには人のつながりです。尊敬できる上司や同僚のために働いていた感覚があります。また、クライアントと接するのは好きですし、会計に関する議論も苦ではない。だから、現場にはたくさん出ていましたよ。苦手なのは監査の理屈と作業だけ(笑)。ただ、もともと経営者になるのが目標です。『いずれは事業会社に』という考えは、入所した当初からありました」
その事業会社を選ぶにあたって、千葉氏が条件としたものがいくつかある。一番は“上場が近い会社”だ。
「監査法人に8年間も在籍していた自分は、周りより“出遅れている感覚”がありました。会計士がCFOになったという話を聞くと、そのほとんどの人がけっこう早く監査法人を退所している。彼らに追いつくため、早く成果をあげたくて、転職先として上場が近い会社を探しました。現にマクビープラネットは当時から右肩上がりの成長を続け、私が入社した1年半後に上場を果たしています。自分のパフォーマンスが最も発揮される環境についても考えました。私が活躍できるのは、“キラキラ”した会社より、未整備な部分が多くあって混沌としている会社だと思っていました。具体的には、資本金が1億円以下で、創業者が経営の主要なかじ取りを行っている会社、という切り口で会社を探しました」
千葉氏がマクビープラネットに参画したのは2018年10月。ミッションは明確、同社をIPOに導くことだ。しかし、課題は山積だった。前任のCFOが抜けたばかりで組織体制が揺らいでいた。また、当時の管理部門は千葉氏を含めて3名のみ。IPOを成功させるにはチームの経験不足・スキル不足は否めず、しかも1名は近々の産休が決まっていたという。
「結論からいうと、社内のメンバーはIPOにほぼかかわっていません。IPOの実務に関しては、業務委託で協力を要請した社外の仲間と進めつつ、同時並行で社内のメンバーと管理部門の再構築に着手していきました。新たな人材を採用し、誰にどの業務を任せるのか、仕事の割当を整理していく。もちろん、私にとってはすべて初めての業務でしたが、監査法人時代のIPO支援や、10~15人規模のチームを責任者としてマネジメントした経験が大いに役立ちました」
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株式会社Macbee Planet取締役 経営管理本部 本部長千葉 知裕
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