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「多角化する事業を支えるため、専門性を高めたチームが築く鉄壁のディフェンスライン」
日本航空株式会社 財務・経理本部 経理部

経理・財務最前線
日本航空株式会社 財務・経理本部 経理部
1951年の設立以来、日本の航空業界を代表する企業として成長を遂げてきた日本航空株式会社(JAL)は、2010年の経営破綻やコロナ禍という試練を経験。しかしその後、航空旅客や貨物輸送を中核に、LCC事業の強化、JALマイレージバンクを活用したライフスタイル関連サービスなど、非航空領域にも事業を広げている。多岐にわたる展開を支えるのが、財務・経理本部の一翼を担う経理部だ。
同部を率いる佐藤浩史氏は、「複数の事業セグメントを適切に機能させるためには、全体を見渡し、適切に統制を取っていく経理機能が不可欠」と、その役割の重要性を語る。現在は55名が所属し、決算、資産会計、税務、業務企画、事業支援という5グループに分かれ、決算業務のほか、航空機などの資産管理、税務申告、経理業務の効率化、支払処理のチェックなど、経理機能全般を担当している。
「航空業界では、特有の会計処理として、航空機の減価償却やリース会計などの特殊な処理が求められます。また、当社は部門別採算制度を採用しています。これは実際に事業を遂行する各本部が責任を持って採算管理を行うという仕組みです。経理部が直接伝票起票を行わず、各本部では経理の専門知識を持たない担当者が経理処理を行うケースも多く、複雑な会計処理の判断を求められる局面もあるのです」(佐藤氏)。
このような状況に対応するため、事業支援グループが各本部や支店の支払い業務をチェックし、適切な会計処理が行われるように管理体制を整える。また、決算グループは各本部に対応する担当者を置いて日々の問い合わせや相談にあたっており、高いレベルで経理品質を維持する。
さらに、財務部や予算管理部門と連携し、経営層へ適切な情報を提供。また、決算報告だけでなく、社内での経営数値の共有を行い、近年は社内の会計リテラシー向上を目的とした情報発信にも注力。インボイス制度や電子帳簿保存法の改正に関するセミナーの開催や、イントラネットを活用した情報提供を通じ、法改正への対応も支援している。
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左から、佐藤 浩史/小石 知孝
財務・経理本部 経理部長
佐藤 浩史
1992年、同志社大学商学部卒業後、株式会社日本エアシステム(現日本航空)入社。2007年3月、経理部決算グループ。18年6月、米州地区支配人室総務部。21年7月より現職。
財務・経理本部 経理部 業務企画グループ長
小石 知孝
1993年、東京大学法学部卒業後、都市銀行に入行。2003年8月、株式会社J A Lリーブル(現日本航空)入社。経理部決算グループ、IFRS導入準備室などを経て、24年4月より現職。