公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
株式会社商船三井
経理部 決算グループ 連結決算担当 主任武井 忍
東京外国語大学卒、日本通運での勤務経験ありと、会計士としては異色の経歴ですね。
武井性格的に、新しいことにチャレンジするのが好きなほうなんですね。やりたいことがクルクル変わると言うべきか(笑)。高校時代には、国連の職員になって国際貢献がしたかった。大学で方向転換して、広い意味での国際的な業務ができると思い、日通に就職しました。
会社では港湾にある事務所で、営業の仕事。商船三井から見ると荷主に当たるので、ちょくちょくうかがったこともありました。
公認会計士を目指したのは?
武井就職した当時もけっこう不景気でした。入社1年を過ぎた頃から、このまま営業マンとしてやっていけるのかという不安と、同時に何か新しいものをやってみたいという気持ちがわき上がってきたんですよ。で、ここまでの自分のキャリアで足りないものを考えた時、会計とか法律とかのスキルを磨くのもいいかなと、公認会計士を目指すことにしたのです。
監査法人では、一般企業での勤務経験が役に立ちましたか?
武井「営業」が染みついていますから、監査に行っても、わりと誰とでもすぐに打ち解けられるし、同じ目線で話もできる。もう少し「権威」が必要だったのかもしれませんけど(笑)。
逆に、監査法人に入って間がない人の中には「一般事業会社のことを知らない」ことに、引け目を感じているような人もいます。一般企業だって新人は何もわからないのが普通なのだから、そのへんはあまり心配する必要はないんじゃないでしょうか。
出向制度を知ったのは?
武井社内の掲示板で見て、すぐに自分から手を挙げたんですよ。監査法人に入所して6年ほど経ち、監査業務はひととおりこなせるようになりました。実はそのレベルになったら、以前からちょくちょく募集があった官庁への出向に応募しようかとも思っていました。これも日通にいた時と同じで、会計士をめぐる環境変化にそこはかとない不安を感じていましたし、新しい現場で働いてみたいという、積極的な迷いみたいなものがあって。一般企業への出向制度を知り、自分が目指すのはこれだと、直感的に思いました。
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株式会社商船三井経理部 決算グループ 連結決算担当 主任武井 忍
株式会社商船三井経理部長兼 新会計システムプロジェクトグループリーダー
海運業はゼネラリストが求められる職種なので、総合職に関しては、3、4年ごとのジョブローテーションを採用している。本来、ある程度の専門性が求められる経理部門も例外ではなく、コンスタントに人間が入れ替わる。そんな中、特にここ数年、会計制度そのものを含めた企業会計をめぐる環境変化が激しく、不安を感じないと言えば嘘になる。専門知識に長けた人間に経理に座ってもらうことは、他の企業に比べても大きな意義がある。出向期間が3年というのも、今述べた当社の事情にフィットするものだ。
武井君には、この1年間、決算業務の核として機能してもらい、大変助かった。それだけではなく、彼の力を借りることで、異動する人が残していった過去の外部監査の要点を理論的、体系的に整理し直すことができた。この制度を利用して、今年の7月に2人目を受け入れたが、いい人材がいれば今後も継続的に受け入れたいと思う。