The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社フィル・カンパニー
取締役 戦略事業本部長小豆澤 信也
コインパーキングの上に、駐車場を残したまま建物を建て、店舗やオフィスとして活用する。小豆澤信也氏は2016年暮れ、そのオンリーワンのビジネスを展開するフィル・カンパニーの社長室長に就任した。そこは、「多くの経営者の“諸葛孔明”として、よりよいサービスを提供したい」という、 “個人事業”との共存共栄を期待できるフィールドでもあった。
小、中、高校と私立暁星学園で学んだ小豆澤氏は、宇宙物理学者を夢見て、早稲田大学教育学部理学科に進学する。そこで、「自分は狭い世界しか知らなかった」と感じたことが、この道に進むきっかけとなる。
「サークルに入って、理系文系の隔てなく交流するうちに、社会は広いんだと気づいた。会社のことなんて全然興味なかったのですが、商学部の友人の話を聞いていると、ビジネスも面白そうだな、と。さりとて、普通のサラリーマンになるのは嫌だという思いもあって、いろいろ調べていたら、経済系のトップに公認会計士という資格があることを知ったのです。じゃあチャレンジしてみようか、という感じで勉強を始めたのが、4年生の時でした」
その後2年留年し、卒業後は会計事務所でバイトもしながら、4年半かけて合格を果たす。06年12月、入所したのは監査法人トーマツ(当時)の横浜事務所だった。“地区事務所”を選んだのは、生まれ育った地元だったからだけではなかった。
「トーマツが比較的新しく立ち上げた事務所で、監査だけではなく、IPO支援といったいろんな仕事ができる。クライアントも超大手というよりは、中小の会社がメインで、早い段階で経営者と話をしたり、会社経営のすべてを見ることができたり、という話でした。それを聞いて、『ここしかない』と、入所を決めたのです」
そう考えたのは、もともと「会計士資格を生かして独立したい」という強い意志を持っていたからにほかならない。採用の面接でも、「3年たったら独立します」と宣言した小豆澤氏だったが、結局法人には7年間在籍した。
「最初の4年間は、監査とIPOがメイン。いろいろな会社を担当し、普通ではアクセスできない情報にも触れられるという点で、修業としては最高のポジションでした。ただ、その時点では、独り立ちするにはまだ力が足りないと実感したんですよ。そこで、今度は事業再生やアドバイザリー業務、営業といった仕事に、中心的に携わることにしました。振り返ってみると、最後の3年間は、独立に必要なものをリアルに感じることができた、本当に濃い時間でした」
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株式会社フィル・カンパニー取締役 戦略事業本部長小豆澤 信也