会計業界の起業人
四谷パートナーズ会計事務所
代表パートナー窪川 秀一
ソフトバンクの監査役に就任したのは、1989年のこと。以降、デジタルアーツ、カスミ、テイクアンドギヴ・ニーズ、共立印刷、ぱど、といった錚々たる企業の監査役を務めているのが、四谷パートナーズ会計事務所の窪川氏だ。
公認会計士第二次試験に合格したのは76年、23歳の時。資格取得を目指したのは、意外な理由だった。
「高校時代から、海外に憧れていましてね。大学1年を終えると、半年ほどニューヨークの日本レストランでアルバイト生活を体験しました」
異国の地で一人。その経験は、何をしても生きていけるという自信につながったという。
「それから、さらに半年間。ロンドンを拠点にヨーロッパ放浪の旅を楽しんで帰国すると、かつての同級生は3年生になっている。そしてゼミの説明会で、経済誌を小脇に抱えた彼らが説明し始めたのを見て、『このまま大学を卒業して就職しても、彼らの後輩で終わるんだろうな』と思ったのです」
この時、頭の中に浮かんだのが、何か専門知識を身に付けて、プロフェッショナルになることだった。
「子供の頃から計算は得意でしたからね。会計士かな、と。それで専門学校に入ると偶然にも、中学・高校時代の友人二人と再会。三人で勉強合宿をしたり、飲みに行ったりして、一緒にスランプを乗り切りました」
その甲斐あって、第二次試験には三人そろって合格。窪川氏は、監査法人中央会計事務所に入所した。
「この監査法人は、上場支援や業績評価システム構築などの経営コンサルティングを行う子会社を持っていましてね。3年間の監査実務を経て第三次試験に合格すると、監査とコンサルティングの仕事を兼務することになったのです。ところが、コンサルティングに行くと『こんなことも知らないのか』と揶揄されることもしばしば。コンサルティング業務に対応するための知識を得ようと必死で勉強しました」
だが、それから4年後。再び監査業務に専念するようになると、窪川氏の心に変化が起きた。
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四谷パートナーズ会計事務所代表パートナー窪川 秀一