
大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二
「監事の権限を強化すれば足りる」という彼らなりの“改革案”も、理事長がその選任を行うという現行の仕組みの下では、画餅に過ぎない。ちなみにこの監事は、会社法(旧商法)上の監査役に倣ったものだ。本家の監査役が今日に至るまで10回近くの制度改正を経ているのに対して、監事は一度も見直されていない。
それにしても、今回の取り組みを通じて痛感するのは、これだけ組織におけるガバナンスの重要性が謳われながら、その理解はまだ社会への浸透にはほど遠い、という日本の現実だ。そのことが、その後の文科省の対応にも表れた。あろうことか、私学側の反発に押されて、「改革会議」の提言をベースに法制化に進むという方針を事実上反古にし、今年1月、「学校法人制度改革特別委員会」を設置して新たな議論を開始したのである。
改革の後退が懸念される事態を看過することはできない。すぐに「改革会議」のメンバーが中心となり、教育・経済界の有識者も加わった「学校法人のガバナンス改革を考える会」を結成し、サイトを立ち上げて意見の発信などを開始した。学校の特殊性、重要性はわかるが、だからといって日大事件が繰り返されてもおかしくない仕組みを温存させるのは、間違っている。こうした状況になった以上、頼みの綱は“世論”なのである。
大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二
慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。