
大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二
「責任ある積極財政」を公約に掲げて衆議院選挙に大勝した高市早苗内閣は、市場からも好感されて首相に就任後、日経平均株価の上昇をもたらしている(2026年2月現在)。しかし、こうした市場の信頼の根幹をなす企業の情報開示において、それを裏切るような会計不正事案が続発していることを忘れてはならないだろう。
例えば、IPO促進の国家的な意向も受けて、24年10月に東証グロースに上場したAI開発ベンチャー、オルツは、上場前からの循環取引による粉飾が発覚し、25年8月末に上場廃止を余儀なくされるとともに、経営者らも逮捕・起訴された。思い起こせば、09年11月東証マザーズに上場したものの、上場審査時の粉飾が発覚したことで、10年6月に上場廃止となったエフオーアイ事件がデジャブのように甦るのである。
それどころか、長年にわたり、わが国製造業を牽引してきたニデックの不適切会計の発覚は、同社の会計に対する姿勢が根底から問われる事案として、創業者の経営理念が厳しく問われることとなったことは驚愕に値する。というのも、同社に関しては、23年に発覚した分配可能限度額を超過した違法配当の問題について、ここで触れたことがある(23年10月号)。
ところが、その後も連結調整計算の誤りによる売上高の過大計上(24年3月期)、イタリア子会社の貿易取引上の問題(25年6月)、中国子会社の不適切会計(同7月)などが次々に発覚し、有価証券報告書の提出遅延も余儀なくされ、会計監査人からも「意見不表明」の報告書を受領している。
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大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二
慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。
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