
大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二
今年も国を代表する企業の不祥事が相次いでいる。みずほ銀行(みずほフィナンシャルグループ)は、2月28日に全ATMの7割が停止する事故が発生したのを皮切りに、3月までに計4回のシステム障害を起こし、過去の教訓が生かされていないことを示した。
15年の会計不正事件の記憶も新しい東芝は、昨年の株主総会が公正に開催されなかったという社内調査の隠蔽などをめぐって6月の総会が混乱し、会社提案の複数の取締役就任が否決されるなどの事態を招いた。
さらに、三菱電機は、鉄道車両用空調装置などの不適切検査の判明を受け、7月に社長が辞任に追い込まれた。この会社の過去の不正も、枚挙にいとまがないほどだ。6月の株主総会で、すでに発覚していた事実について何ら説明しない、すなわち株主への説明責任を放棄したことをみても、問題の根は極めて深いと言わざるを得ない。
これらはいずれもガバナンスの根本が疑われる事案だが、皮肉にも、この3社はすべて指名委員会等設置会社なのだ。社外取締役にも、肩書を見れば、錚々たるメンバーが並ぶ。しかし、これだけ重大な事態を招いた(見逃した)人たちは、明らかにお飾りであり、単にそこに置かれた“張りぼて”といえる。
“社外の数”は必要だが、それよりも大事なのは、自ら会社に問題がないのか常に情報収集に努める姿勢も含めた資質、能力である。同時に、会社の側に、あえて適格な人物を招く社風といったものが築けなかったら、ガバナンス・コードはいつまでたっても絵に描いた餅のまま。制度改革には、そうした本質の議論が不可欠だ。
大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二
慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。