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Accountant's magazine vol.63

-アカウンタンツマガジン-
2021年10月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

「新たなガバナンス・コードを、"画餅"に終わらせないために」

大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

今年6月、上場企業の行動規範である「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」が、3年ぶりに改訂された。2回目の改訂となる今回の最大のミッションは、取締役会の機能発揮、その促進のための独立社外取締役の“増員”だ。

これは、来年4月に実施される東京証券取引所の市場改革の布石としての意味を持っている。現在、1部、2部、マザーズ及びJASDAQ(スタンダード・グロース)の4つの市場区分からなる東証は、来春、プライム、スタンダード及びグロースの3つの市場に再編される。このうちプライムは、海外投資家を呼び込む“エリート市場”という位置づけだ。そして新たなガバナンス・コードでは、この市場に上場する企業には、独立社外取締役を全体の3分の1以上置くことが求められているのである。

社外取締役の機能、役割を重視せよ、という総論に異議はない。しかし、改訂コードの中身でその目的を果たせるのかは別問題、というのが私の認識だ。

会社法は、上場企業に「監査役会設置会社」「監査等委員会設置会社」「指名委員会等設置会社」という3つの異なる機関設計を認めている。今回の改訂は、今の3つのうち、グローバルスタンダードにもかなう指名委員会等設置会社(取締役会に、経営の監督役として、社外取締役が過半数を占める指名委員会・監査委員会・報酬委員会を置く)を目指しなさい、と読み換えることもできる。2003年に鳴り物入りで導入されたものの、現在3700社あまりの上場企業のうち、この機関設計を取り入れているのは、わずか七十数社に過ぎない。

では、頑張って取締役会をこの設計にすれば、ガバナンスはうまく回るのだろうか?

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Profile

大原大学院大学 会計研究科 教授 青山学院大学 名誉教授  博士(プロフェッショナル会計学) 八田 進二

大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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