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Accountant's magazine vol.58-59

-アカウンタンツマガジン-
2020年10月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

「監査現場の頑張りは敬服に値する。しかし、一番に守るべきは"人命"」

大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

我が国では、過去に2度(バブル崩壊後の1997年12月、リーマン・ショック後の2008年10月)、金融機関の保有する有価証券の評価方法の変更を容認し、評価損の計上を回避させたことがある。恣意的な会計基準の変更は、「国を挙げての粉飾決算」とも揶揄された。会計や監査にかかわる重大な問題が発生した時には、関係者がしかるべきデュープロセス(正当な手続)に従って適切な方策を検討し、示していくというのが、ディスクロージャー制度のあるべき姿といえる。そうした可能性を示したという点でも、今回の協議会の試みは意義があったと考えるのである。

ところで、結局、今年の3月期決算では、74%の企業が「45日ルール」の5月15日までに発表を終えており、定時株主総会を7月以降に延期した会社は20社にすぎなかった。企業の経理・財務担当者の真面目さ、頑張りは敬服に値するが、手放しで喜ぶわけにはいかない。リモートワークでは対応しきれず、連日の出社を強いられた、という話も聞く。これでは、自らの命を危険にさらすだけでなく、無理をすれば不正確な情報開示を招く危険性も高まる。

こういう場合に必要なのは、「急がなくてもいい」というトップのメッセージにほかならないのだが、関係者の話を聞く限り、経営陣の“決算の現場”に対する認識は、平時とあまり変わらないものだったようだ。日本企業のガバナンスの弱点が、そんなところにも透けて見える気がしてならない。

Profile

大原大学院大学 会計研究科 教授 青山学院大学 名誉教授  博士(プロフェッショナル会計学) 八田 進二

大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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