
青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二
ところで、アベノミクスの政策ブレーンの一人で、「再興戦略」に真のコーポレートガバナンス論議を盛り込む中心になったのが、経営コンサルタントの冨山和彦氏である。先般、対談を通じて、彼が会計の重要性を強く認識されていることを知った。彼は、東京大学在学中に司法試験に合格するものの、法律の道には進まずにボストン・コンサルティング・グループに就職、すぐに独立系のコンサル会社設立に携わる。その後、政府の産業再生機構の重責を担うことになるのだが、一つの転機になったのは、大学を出て数年後に、経営学修士(MBA)を取得するため、スタンフォード大学に留学したことだった。
彼は、経営の基礎として不可欠の簿記を初めて勉強したそうだ。向こうでは授業で何も教えてくれず、ほとんど自力で習得しなければならない。「それは苦しかった」と前置きしつつ、冨山氏はこう言った
「でも、自分が今あるのは、あの時に、会計の基礎を徹底的に勉強したおかげなんですよ」
我々会計に携わる専門家も今一度“初心”に帰って、会計の原点、ガバナンスの原点を思い起こすべきではないか
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二
慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。2005年より現職。現在、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員、金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会」メンバーを兼務し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。