
経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)
顧問金児 昭
「『売り上げをきちんと帳簿に乗せるのが仕事』という昔ながらの経理には、ビジネス・アキュメンは必要ありません。しかし特にビジネス・カウンセルにおいては、『これをやるべき』『ここはリスクが高い』など、事業部と同感覚で目標を共有できる知見やスキルが大事なのです」と昆氏は話してくれた。重要な視点だと思う。
ところで昆氏と私とでは、企業内における経理・財務という組織の捉え方、スタンスがちょっと異なる。昆氏の場合は、経理は時として事業部の人たちの仕事をリードする存在に位置づけられる。私は経理・財務は、販売、製造、研究部門を自主的にバックアップする“しもべ”に徹するべきと考えている。だからといって、昆氏が間違っているなどというつもりはない。優れた理論家で、外資でもまれにもまれた経験を持つ彼の下であれば、メンバーが“リード”の意味を取り違えることもないだろう。
「会計は無機的な計算手法ではなく、企業文化や人材の育成過程で組織が有機的に進化するなかで、最も効果的な機能を果たすもの。簡単に言えば生き物です。かかわればかかわるほど楽しい。その楽しみが享受できるよう、鍛練してください」。対談の最後を、昆氏は若い経理・財務担当へのメッセージで締めくくってくれた。
経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)顧問金児 昭
1936年生まれ。東京大学農学部卒業後、信越化学工業に入社。以来38年間、経理・財務部門の実務一筋。前金融監督庁(現金融庁)顧問や公認会計士試験委員などを歴任。現・日本CFO(経理・財務責任者)協会最高顧問。著書は2013年5月現在で、共著・編著・監修を含めて143冊。社交ダンス教師の資格も持つ。
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