会計士の肖像
株式会社船井財産コンサルタンツ
代表取締役社長蓮見 正純
金融ビッグバンに歩を合わせ、プロジェストは着実に成長を遂げた。約10年の間に、40名を超えるプロフェッショナル集団となり、税理士法人や社労士法人も設立。総合的なコンサルティング体制を整えつつあった。船井財産コンサルタンツから、「一緒にやりませんか」と声がかかったのは、この頃である。不動産関連ソリューションに高い専門性を持ち、個人資産家を顧客に持つ同社と、企業の財務体質強化や企業オーナーの事業承継に強いプロジェスト。「一緒にやる」ことで生まれるシナジー効果は十分に予感できた。蓮見は新たなチャンレンジを決断し、08年10月、経営統合を果たす。
06年の会社法大改正でもって、それまで矢継ぎ早に行われてきた様々な改正も、ひととおり終わりました。プロジェストにとっては節目の時期で、コンサルティング会社として継続成長するためにはどうすべきか。税務・会計だけではソリューションに限界があるし、かといって株式公開できるような規模じゃない。まさに「これから」を模索していた時期に、当時、船井財産コンサルタンツの社長だった平林良仁さんからお話をいただいたのです。
継続企業をつくること、ソリューション能力を高めること。そもそもの目的はここです。船井財産コンサルタンツは個人資産家のコンサルテーションが得意で、プロジェストは企業オーナーが得意。日本の資産って、不動産とエクイティがほとんどでしょう。だから一緒になれば、ほかにない総合的な財産・財務のコンサルティング会社ができる。そう思いました。様々な悩みを抱えている企業オーナーと同様、土地を持った資産家にも大きな悩みがあるわけです。不動産ソリューションができないと、本当の意味でのコンサルティング会社にはなれませんからね。
もちろん、即決だったわけではありません。プロジェスト時代に出会って、僕がすごく尊敬している緑川正博先生や、大学時代のクラスメイトにも相談に乗ってもらいながら、熟考を重ねた期間が半年ぐらいあったでしょうか。独立後も、要所要所で「物事の本質」を捉えたアドバイスをしてくれる人がいるということ、それが僕の財産です。
個人の財産と企業の価値を保全する総合財産コンサルティング会社。新体制は整ったが、その出足は蓮見にとって厳しいものとなった。リーマンショックの影響を受けて、財務的に相当な痛みが出たからだ。会社規模を縮小し、リストラにも着手せざるを得ない状況を経て、「今、やっとスタートラインに立ったところ」だという。
だから、過去の話をしている場合じゃなくて(笑)、本当に働かなきゃいけないステージはこれからなんです。今年の1月1日に開始した事業年度が、新しい船井財産コンサルタンツの実質的な船出。これから歴史が始まると思っています。それと、職人としてやってきた僕がいきなり上場会社の社長になって、この間、まだまだ経営ができていなかった。少しずつ経験を積ませてもらって、心の底から自分の声が出てくるようになった意味においても、やはりスタートなのです。
今、ものすごく大変な時代ですよね。89年に日経平均株価が最高値を付けてバブルが崩壊した時、「経済的な敗戦」とか「戦後最大のつまづき」などと言われましたが、今はそれをも超える時代で、大転換が求められています。それでもまだ、経済は旧システムで動いている。いったん壊して新しいシステムを構築しなければならないのに。このままでは、日本全体が貧しくなりますよ。不動産の財産価値は20年以上にわたって下がり続け、300万円以下の所得層が全体の41%を占めている現状。さらに、70歳以上の経営者で、事業承継者が決まっていない会社が20%もある。こういう大変な時代にこそ、我々は死力を尽くさなければなりません。僕の目標は、個人の財産と企業価値の保全を通じて、日本経済を支える会社をつくり上げ、そして、共に働くメンバーが物心両面で幸せになる会社にすることです。
だから、若い人たちにも全力で走ってほしい。資格は生活の安全のためにあるのではなく、世の中に貢献するためのツールです。資格にぶら下がることなく、より能力を磨き、新しい日本をつくるべく必死で働いてほしい。口うるさいようですが、おじさんたちも頑張るから(笑)。逆風だけれど一歩も引くまい。今はそういう心境です。
※本文中敬称略
株式会社船井財産コンサルタンツ代表取締役社長蓮見 正純