新天地から
株式会社野村総合研究所
経営革新コンサルティング部主任コンサルタント猪鼻 聡
「事業会社は、決算書をとおして事業活動が適正に行われているか明確にわかる仕組みになっていますよね。けれど、当時の行政機関にはそれを受け入れる仕組みも風土もない。出向先では、若手を集めて管理会計の必要性や考え方についてレクチャーすることから始めました」
事業会社の監査に携わってきた猪鼻氏からすれば、与えられた予算は年度中に使い切ってしまうというODAプロジェクトも、それを支援する国際協力銀行や行政自体も、コスト観念が甘すぎると思った。日本の将来のためにも何とかしなくてはいけない――。折しも省庁改革が決定して間もない頃。2年7カ月の出向期間を経て監査法人に戻った猪鼻氏は、新規事業開発を担う公会計部門への配属を願い出た。
「当時は、自治体でも病院や大学、研究機関などの独立行政法人化が盛んに行われていた頃で、企業会計原則を導入した新基準への対応業務などに従事。企業会計における考え方をはじめ、民間事業者の経営ノウハウやコスト管理ノウハウの活用法などを提案すると、『目からウロコが落ちた』と絶賛されました」
そして、2003年7月に財務省へ出向。定量的な業績評価を導入するという観点で、省内の政策評価計画立案から報告書作成などの業務に携わる。
「その後は、監査法人で公会計についてのコンサルティング業務に携わりました。ところが、時同じくして中央青山監査法人(当時)の所属会計士によるカネボウ粉飾決算が発覚。業務停止の行政処分により、一切の仕事がなくなってしまった。ようやくやりたい仕事に就けたのに……。悔しい思いでいっぱいでした。けれど、このまま終わらせたくない。今度こそ、幅広い組織の経営実態を知ることができ、様々な側面からサポートできる仕事を探そうと決めたんです」
事業会社のみならず、公的機関にも携わった会計知識やこれまで培った経験を生かしたい――。官公庁からグローバル企業まで、幅広くコンサルティングを行う野村総合研究所(NRI)への転職という選択は早かった。
株式会社野村総合研究所経営革新コンサルティング部主任コンサルタント猪鼻 聡