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Accountant's magazine vol.41

-アカウンタンツマガジン-
2017年04月01日発行

会計士の肖像

「変化と進化を止めなければ、我々の仕事はなくならない。歩き出すことで、景色は変わる。その勇気を持ってほしい」

東京共同会計事務所
代表パートナー内山 隆太郎

アナログ勝負+AI。ほかと融合して自らを輝かせる

業務改革とともに多角化も進め、現在同事務所は、SPCなどの「ストラクチャード・ファイナンス」に加え、M&Aや事業再生の「コーポレート・ファイナンス」、相続対策をはじめとする「ウェルネス・マネジメント」、それに「国際税務」の4分野で事業展開する。次なる黄金期を展望し、内山はどこを向くのか。

思いつくままにお話しすると、まず国際業務の強化ですね。国内市場がシュリンクする以上、日本企業はさらに海外に出て行かざるをえないでしょう。本気でサポートしようと思ったら、会計事務所もそうするしかないわけです。まあ、これはほかの仕事もそうなのですけど、やるからには〝Big4〞には負けたくない。Big4の牙城ともいえる国際業務でも、彼らに勝てる領域が必ずありますから、そこで勝負を挑みたいと考えています。

ちょっと意外に感じるかもしれませんが、国内で注目しているのが農林水産分野なんですよ。いろいろ言われながらも、日本の一次産業には高いポテンシャルがある。〝鎖国〞の壁が取り払われたら、それが一気に開花するでしょう。金融・税務の側からそこをフォローしていくというのは、非常に魅力的なミッションだと思うのです。

あと着目するのが、富裕層ビジネスですね。これは先行するところが数多くありますけど、私が考えるのは、資産管理会社を活用してグローバルに運用していく、というスキームなんです。それが本格化した時、SPCで培った資産管理のノウハウが必ず生かせる。かなり面白いことができるのではないかと、期待もしています。

雑駁な言い方になりますけど、今お話ししたテーマは、すべてアナログ系のアプローチなんですね。あくまでも人間が知恵を絞って、他社が真似できない高度な仕事をしましょうよ、ということです。IT社会とはいえ、我々会計事務所が差別化できるとしたらその部分だし、働く人間にとってもそれが最も幸せだろうというのが、私の感覚なんですよ。だから、うちはこれからもアナログ勝負です。

一方、私自身、ITはからきし弱いのですが、これだけAIによる社会の変容が取りざたされている時代に、それを無視するのもリスキーかな、と。だから、アナログ勝負の裏舞台をIT武装させていくのは当然として、もう少し欲張ってそちらのフィールドにもいくつか保険をかけたいという気持ちも持ってはいます。ただ、想像するに、そこは真っ先にインフラ構築したところの独り勝ちで、なおかつ陣取り合戦には莫大な投資が必要になるという世界。会計事務所のゲームではありませんから、参戦するのならば、どうやって、どんなかたちで〝勝ち馬〞に乗るのかが問われるのでしょう。そのあたりまでを考えるのが、経営者の役割なのかな、と思っているんですよ。

「近い将来、会計士の仕事はAIに取って代わられる」。そんな議論が、まことしやかにされる時代でもある。これから求められる〝会計士像〞、会計事務所のあり方を、内山はどう捉えているのだろう。

例えば、投資という活動は、恐らく未来永劫なくならないでしょう。投資をしたら、その結果を必ず会計処理してレポートすることが求められます。また、これだけ金利がゼロに近い状態になると、相対的に税金のロスによるダメージの影響度が拡大していく。そうしたこと一つをとってみてもわかるように、社会のなかでの会計、税務の重要性は高まりこそすれ、減退することはありません。まずは、そのことを認識すべきでしょう。

ただし、確かに機械化される部分は少なくないし、会計に対する社会のニーズ自体も、大きく変貌を遂げていくはずです。〝今と同じ〞ではいけない。

これから特に重要になるのが、単独で何事かをなすのではなく、いろんな相手との組み合わせのなかでその機能を発揮していく、という発想だと私は考えています。組んだうえで、「これって会計の仕事?」くらいに〝溶けて〞しまえば、逆に残れる。そこでこそ、「会計士の資格を持った人」が燦然と輝けるのではないかと思うんですよ。

今の若い人は、自分がその世代だった時と比べて、明らかに優秀で学力は高い。なのに、動かないんですね。例えば、うちで最近あったことですが、外部の研修の講師なんて、めったにないアウトプットの機会なのに、気後れして誰も手を挙げないわけです。うちに限ったことではないと思いますが。でも、これは非常にもったいない。

座して見ていても、景色は変わりません。一歩前に進めば、違うものが目に入ってくるじゃないですか。そこに新たなチャンスが生まれるわけです。自ら動く勇気を持ってほしい。そうすれば、AIなど恐るるに足りずです。

※本文中敬称略

Profile

東京共同会計事務所 代表パートナー 内山 隆太郎

東京共同会計事務所代表パートナー内山 隆太郎

1964年12月
出生
1986年9月
公認会計士第二次試験合格
1987年3月
慶應義塾大学経済学部卒業
1987年4月
監査法人中央会計事務所入所
1989年
公認会計士開業登録
1990年4月
中央クーパース・アンド・ライブランド国際税務事務所に転籍
1991年4月
同事務所マネージャー
1993年4月
税理士開業登録
東京共同会計事務所を設立。
代表パートナーに就任

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