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Accountant's magazine vol.61

-アカウンタンツマガジン-
2021年04月01日発行

会計士の肖像

「これからのカギは"快適性"。「心地よさ」という価値観を敏感に察知し、対応する力が必要になる」

株式会社JBAホールディングス
代表取締役 グループCEO脇 一郎

これからを見据え、プロフェッショナルの真なる姿を追求

これまでの歩みが示すように、脇は常に自分を磨き、プロフェッショナリズムを重んじてきた。現在はJBAグループのCEOとして、一人ひとりが能力をいかんなく発揮できるプロフェッショナルファームづくりに全力を注ぐ。「組織の看板ではない。個々のプロフェッショナルの判断がすべて」という脇の言葉は、監査法人や会計事務所の大規模化が進む昨今において新鮮である。

私が監査法人に入所した頃は、個性的な人がたくさんいました。業界もさほど組織化されておらず、それぞれの先生が、個々の方針、やり方で仕事をしていた。ですが、昨今はクライアント規模が大きくなり、事象も複雑化して、品質管理も厳しくなってきた。このような背景から、組織的に対応しなければならなくなってきたのは、もちろん理解できます。ただ、プロフェッショナルとして個々がリスペクトされ、「私は本当にプロなんだ」と自認できるような組織も必要ではないかと。

「JBAの脇」ではなく「脇がいるのはJBA」というように。個が先に立つようなプロフェッショナルになってほしいと、スタッフには常々言っています。例えるなら、芸能事務所みたいなものです。あるタレントを指して、「そういえばあの人、吉本だよね」という感じ(笑)。組織や看板はあとからついてくればいい。個々のプロフェッショナルが最大限パフォーマンスを発揮できるような体制がベストだと思っています。当然、業務の品質管理はガバナンスの中で徹底していますが、原則としては、現場のプロフェッショナルの判断がすべて。それが、真のプロフェッショナルの姿だと思っています。

資格を持つ人の心の奥底にはキャリアは自分で拓くという、いい意味での野心があるでしょう。資格の有無に限らずプロたるもの、組織や看板に依存せず自らの“技”がすべて——その精神を大切にしてほしいです。組織は永久に存続するかどうかわかりませんが、個々が優れた技を持っていれば、どこまででも生き残れます。私自身が管理されるのが嫌いだから、こういうマネジメントを実践しているのかもしれませんけどね(笑)。

今年、脇は年頭の辞に「快適性の追求」という言葉を掲げた。コロナ禍によって大きく変化した仕事環境や価値観を見据えた、大切な視点である。これから先、プロフェッショナルにとってカギになるのは何か――多様性を受け入れ、「心地よさ」という価値観を敏感に察知して対応する力。それが、脇が送るメッセージだ。

ここにきて勤務スタイルや仕事の仕方に変化が生まれ、我々の業界は、ある意味自由になりました。仕事の本質は変わらないにしても、時間や行動の拘束が解けた今、人はより快適さを求める方向にあると思います。「何が快適か」は人によってそれぞれ違います。卑近な例として打ち合わせ一つを取っても、対面でやりたい人、リモートがいいという人……個々それぞれなわけで、多様な価値観を認めていくことになるでしょう。

会計や税務の仕事は、ある意味成熟しており、場合によっては誰がやっても結果はそれほど変わらないかもしれません。だからこそ、誰と仕事したいか、どうすれば一番快適か、そういうことが一層大事になってくるのではないかと思うんですよ。プロフェッショナルとして、品質の高いパフォーマンスを提供するのは当たり前、さらにその先として、クライアントの快適性を追求すること、相手にとって何が快適かを敏感に察知し、一緒に仕事がしたいと思ってもらえるようになること。成熟したサービス業においては、これがすべてだと言っていいと思います。

それと、経済的な価値ばかりに重きを置く考え方を見直す必要があります。これまでの経済的な価値は、特に企業を中心とする価値でしたが、これからは人が快適であると思う価値、それこそESGやSDGsの価値観を認識し、実践する必要があります。我々のようなお金の近くにいる会計専門家こそが、このような快適性を追求するための価値を考える必要があるのではないでしょうか。

今、私の本職はJBAグループのCEOですが、日本公認会計士協会でダイバーシティ&インクルージョン(D&I)担当の常務理事も務めています。これからの公認会計士はどのようにあるべきか、公認会計士が魅力ある職業であり続けるために、どのような施策や制度が必要なのか、真剣に取り組んでいます。私はよく「会計士っぽくないね」と言われることがありますが、公認会計士が多様な人材の宝庫であることを示すホメ言葉であると、勝手に解釈しています(笑)。

Profile

株式会社JBAホールディングス 代表取締役 グループCEO 脇 一郎

株式会社JBAホールディングス代表取締役 グループCEO脇 一郎

1968年8月5日
神奈川県横浜市生まれ
1992年10月
公認会計士
第二次試験合格
1993年3月
早稲田大学商学部卒業
1993年4月
中央監査法人
国際部入所
1996年6月
公認会計士登録
1996年8月
ヘレウス・エレクトロナイト株式会社
ファイナンシャル・コントローラ
2001年7月
ラムリサーチ株式会社
ビジネスアナリスト
2002年9月
Exactソフトウエア株式会社
代表取締役社長
2006年3月
ジャパン・ビジネス・
アシュアランス
株式会社創業参画
取締役マネージング
ディレクター
2016年9月
株式会社JBAホールディングス
代表取締役
グループCEO

専門家としての対外活動
●日本公認会計士協会常務理事
 (ダイバーシティ&インクルージョン担当)/組織内会計士協議会会長
●国際会計士連盟(IFAC)
 企業内職業会計士(PAIB)
 アドバイザリーグループメンバー
●早稲田大学会計大学院非常勤講師

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