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Accountant's magazine vol.61

-アカウンタンツマガジン-
2021年04月01日発行

会計士の肖像

「これからのカギは"快適性"。「心地よさ」という価値観を敏感に察知し、対応する力が必要になる」

株式会社JBAホールディングス
代表取締役 グループCEO脇 一郎

ステージを変えながら磨きをかける。そしてJBA設立へ

組織の体制を整え、「最終的には自分をリストラする」ことを目標にしていた脇は、01年、メドが立ったところで、今度は米系の外資系企業へとステージを移す。そしてその1年後には、やはり外資系であるERPソフトウエア会社の代表取締役社長に就任し、日本法人の立ち上げに奔走。脇は常に自分のキャリアを磨くべく、積極的に動いてきたのである。

ヘレウスの居心地はよかったのですが、私のコストが高いのはわかっていたので、最後は自分をリストラして終わらせようと思っていました。ヨーロッパの会社を経験したから次は米系に、そして、半導体というガラリと違った業界に関心を持ち、転職したわけです。ですが、入った翌年に半導体バブルが弾け、少々窮屈な環境になってしまった。さらに私に求められたのは純粋なビジネスアナリスト(管理会計業務)としての役割で、経営にも思うように関与できず……そうならば、私でなくてもいいのかなと。

そんな頃です、「日本に拠点をつくるから社長にならないか」とオファーを受けたのは。オランダに本社を置くExactソフトウエアです。実は、先のヘレウス時代に導入したERPはこの会社の製品で、へレウス退職後も、個人的につながっていたんですよ。それもあり、彼らが日本拠点を開設するにあたってのアドバイスを求められ、その流れの中で「社長に」という話が出てきたのです。私自身、キャリアのどこかで社長という仕事を経験したほうがいいと思っていたので、踏み出すことにしました。

ゼロからの立ち上げで、当然ながら主眼はソフトウエアを売るという営業。とにもかくにも結果が問われる世界です。マネジメントをしながらよくわかったのは、ビジネスは理屈だけではできないということ。文化や慣習などが入り混じり、会計や財務のような理屈では説明できないことがたくさん起こる。そして、上司が海の向こうのCEOでしたから、結果責任とその説明、つまりアカウンタビリティスキルがものすごく鍛えられましたね。また、意思決定は環境によって変わる、というか、変わるべき、ということも学びました。コントローラ時代は、理路一貫とした姿勢が大事だったのですが、ビジネスを推進する経営者は、その時々において、ベストだと思う選択を適時にしなければならない。経営者としては、一度出した結論も正しくなければ変える勇気を教わりました。

脇がジャパン・ビジネス・アシュアランス(以下JBA)の立ち上げに参画したのは06年、37歳の時だ。「あえて監査業務をやらない」会計コンサル会社として会計士6名で共同設立したもので、脇は監査法人時代の先輩に誘われた格好でマネージングディレクターとして参画した。“立ち上げ”は脇が得意とするところである。「一番下っぱだったし(笑)、組織の仕組みづくりや管理系は全部引き受けました」。

社長になったのは設立10年後ですが、それまでは主に管理本部と経営企画の2つを担ってきました。当初より貫いているのは、企業の多様な期待やニーズを拾い上げ、一気通貫した提案をし、具現化していくという仕事スタイル。評論家ではなく「具現化のプロフェッショナルであれ」です。

現在、JBAグループは会計コンサルティングを主軸に税務コンサルティング、人材・リーガル・グローバルサービスといった5つの事業領域、グループ人員は150名を擁する組織体制となりました。これは最初から構想していたというより、お客さまの「やってほしい」に応えてきた結果です。例えば、法人を設立したいという相談があった時に「アドバイスはできても実行できない」では、要望に応えきれないでしょう。司法書士や税理士など各分野の専門家がチームを組めば、運営までワンストップでサポートできる。プロの仕事というのは、お客さまのニーズを正確に把握して、お客さまが“快適”だと感じるサービスを提供すること、そして責任をもって最後まで伴走すること。現状のJBAグループは、そう考えてきたうえでのかたちです。

個々のプロフェッショナルを引き立てながら、集団として価値を最大化する――端的な言い方をすれば、部分最適と全体最適を両立させる。これが、JBAグループの最大の特徴であり、同時に大きなチャレンジです。プロフェッショナルは、みんな個性的ですから(笑)、全体最適が過ぎると個々が引き立ちませんし、部分最適が過ぎると組織化する意味がなくなります。そのちょうどいい塩梅をマネジメントするコツなどはありません。人間くさいところでマネジメントするしかないと思っています。

Profile

株式会社JBAホールディングス 代表取締役 グループCEO 脇 一郎

株式会社JBAホールディングス代表取締役 グループCEO脇 一郎

1968年8月5日
神奈川県横浜市生まれ
1992年10月
公認会計士
第二次試験合格
1993年3月
早稲田大学商学部卒業
1993年4月
中央監査法人
国際部入所
1996年6月
公認会計士登録
1996年8月
ヘレウス・エレクトロナイト株式会社
ファイナンシャル・コントローラ
2001年7月
ラムリサーチ株式会社
ビジネスアナリスト
2002年9月
Exactソフトウエア株式会社
代表取締役社長
2006年3月
ジャパン・ビジネス・
アシュアランス
株式会社創業参画
取締役マネージング
ディレクター
2016年9月
株式会社JBAホールディングス
代表取締役
グループCEO

専門家としての対外活動
●日本公認会計士協会常務理事
 (ダイバーシティ&インクルージョン担当)/組織内会計士協議会会長
●国際会計士連盟(IFAC)
 企業内職業会計士(PAIB)
 アドバイザリーグループメンバー
●早稲田大学会計大学院非常勤講師

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