The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社ローカルワークス
取締役CFO リフォマ事業部長塩津 友輝
コンサルのクライアントは、全国に支店を展開するグループ企業だった。500を超える地域支店を束ねる巨大組織の業務改善、業績向上を実現するのが、所属するチームに課せられた任務である。
最初に命じられたのは、いわゆる戦略コンサルでした。事業戦略を立案し、それに基づいた目標をトップダウンで地域支店の現場に割り当て、実行してもらうというやり方です」
ところが、なかなか思うようにはいかなかった。「1年間やっても、業績は上向くどころか、逆に落ち込んでしまった」のである。
原因を探るうち、塩津氏は、問題点が戦略そのものというより、「組織の動かし方」にあったと気づく。
「トップダウン方式だと、上がってくる数字を分解し、ダメなところ、できない理由を明らかにして潰していくという“減点式”になりがちなんですね。
現場ではセクショナリズムが強まり、『できないのは、あいつのせいだ』という個の話になっていくわけです。これでは、あるべき組織力の発揮が望めるわけもなかった」
そこで実行したのが、「真逆の“加点式”の組織マネジメント」だ。改善のターゲットも地域支店のさらに下の支店に定めて、自ら乗り込んだのである。そこで成功例をつくり、それを全体に普及するという作戦だった。
「具体的なテーマは、組織の扱う商品の業績アップでした。まずやったのが、『そのために、あなたができることはありませんか?』というヒアリングです。少しずつでもいいから、チーム全員が同じ目標に向かって力を出したら、状況は大きく変わるというのが、その時僕の立てた仮説でした。だから、当該商品とは関係ない部門の人や、窓口業務の担当者にまで、同じヒアリングをしたんですよ」
それを踏まえて、「この人の行動は、別の人の行動結果につながるパスになる」という役割分担と協力を促す業務フローを作成し、毎日の夕礼でその成果を確認し合うという作業を地道に続けた結果、徐々に組織は動き出す。
「ゴールを決めるのは、営業担当者です。そのうちに、ゴールが決まるたびに営業担当者がパスをつないでくれた仲間に感謝するといった空気が、自然に生まれました。感謝されたほうも、『貢献できている』と実感できる。最終的に、業績は以前の6倍近くに伸びました」
仮説の正しさは、見事実証されたわけである。しかし、塩津氏は達成感を得た一方で、できることの限界にもどかしさを覚えていた。丸ごと変革するには、その組織は巨大すぎたのである。
コンサルの成功体験を踏まえて選択したのは、「自分を役員として迎えてくれるベンチャー企業に転職し、その組織を変え、スケールアップに貢献する」道だった。
「ある意味、とんでもないことを言い続けるベンチャーのトップと、時としてそれに戸惑うメンバーたちの間に入って、その組織の持つ潜在能力を最大限引き出す役割といったらいいでしょうか。それが僕にとって最もやりたいこと、存在意義を実感できるポジションでした」
株式会社ローカルワークス取締役CFO リフォマ事業部長塩津 友輝