The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社3ミニッツ
取締役CFO 兼 経営管理部長石倉 壱彦
転職活動を始め、事業会社、コンサルティング会社、金融機関などを受けていくなか、石倉氏は事業が急成長し、事業環境の変化も速く、かつベンチャー感もある大手IT企業サイバーエージェント(CA)を新天地に選ぶ。「常駐型のコンサルタントのようなスタンス」だった。
「フリーの会計士が集まるジオンコンサルティングの取締役という肩書でしたが、実際にはCA専属です。独立と同時に個人事務所も立ち上げ、様々な会社と仕事をしようと思ったのですが、事業成長のスピードが速いCAの仕事に全力コミットしていたのでそんな余裕は一切ありませんでした」
しかし当初、「監査と事業の違い」に面食らうことも多かったそうだ。
「監査法人で働いていた時には、クライアントに対して偉そうに指摘していたのに、実際には経理業務や支払い業務を実行するだけで四苦八苦(笑)。自分はこんな当たり前のこともできないのか、と」
〝事業ファースト〞の発想を体得することには、さらに苦労した。
「監査では、あくまでもクライアントのやったことがルールに則ってどうなのか、という観点から考えていました。しかし、事業会社で我々プロフェッショナルに求められるのは、『どこまでリスクをとって事業を最速で伸ばすことができるか?』という問いに対する答え。『ルールどおりにやりましょう』だけでは、存在価値はない。そういうマインドというか、考え方の癖を転換させるのは苦労しました。でも、初めて経験した事業会社でその部分を理解できたのは、大きな財産になりました。この経験が自分のターニングポイントになったと思います」
同社での業務を通じて、「結束力の強い組織こそ、メンバー一人ひとりのコミットを高め、大きな事業を創り出すことができる、と目の当たりにできたことも大きかった」と話す。
「ビジョンに共感した優秀な人材を集め、事業を構築していく面白さを実感しました。そして、そんな組織をつくれたらもっと楽しそうだ、という思いがどんどん膨らんだのです」
13年、石倉氏は今度はその夢をかたちにすべく、創業間もないアカツキに転職する。
「ゲーム事業が柱で、市場の成長性も十分。何よりも、創業者がこんな会社にしたいというビジョンを本気で語るところに、共感を覚えました」 文字どおり成長期にある会社で、「意思決定からマネジメント、プレイヤーとして手を動かすことまで、とにかく死に物狂いで何でもやった」。石倉氏が、16年の東証マザーズ上場、17年の東証一部上場に、大きく貢献したことは、いうまでもない。
株式会社3ミニッツ取締役CFO 兼 経営管理部長石倉 壱彦