会計士の肖像
ピー・シー・エー株式会社
代表取締役社長 CEO水谷 学
「じゃあ、君が社長をやるか」。会長職にあった川島氏から言葉をかけられたのは、水谷がさらなる開発力強化に向けて、エンジニア増員の必要性を進言しにいった時のこと。「トップに立つというより、補佐のほうが向いているタイプ」とは本人の弁だが、この頃、水谷には「会社をよくするためにやるべきこと」が諸事見えていた。それらを実行するために川島氏の言葉を受け、社長に就任したのが07年。49歳の時だった。
一番大きな課題は、開発力が足踏み状態になっていたことです。そもそもパッケージソフトはすぐにマネられるし、バージョンアップだけでは、早晩競争力を失います。基盤技術が古くなってきていたこともあり、このままでは下位メーカーにも抜かれかねない、そんな危機感がありました。
第二創業期を迎えたつもりで、まずは開発力の強化です。景気に関係なくエンジニアの定期採用を実施し、教育にも注力し、技術を全面的に見直したのです。その成果は製品に、そして現在の「PCAクラウド」に現れています。競合他社は、これに対抗できるようなサービスをまだリリースしていませんし、機能からしても、中堅・中小企業向けクラウド業務ソフトの分野では、絶対的な強みを持っています。クラウドは月額で利用料金をいただくビジネスモデルで、基幹業務だけに解約もまずありません。今後の伸びしろはとても大きく、このアドバンテージによって、PCAの新たなビジョンが明確に描けたのは確かですね。
そして、悲願だった東証一部への市場変更。社長就任前から考えていたことですが、監査をやってきた経験から「万年二部」という言葉が頭にあったんですよ。二部上場はしたものの、そこから業績が伸びず、ずっと二部に止まっているパターン。やはり会社は成長すべきものだし、優れた人材を集めやすくするためにも一部への市場変更は達成すべきだと。100億円の年商を目標に掲げ、様々な業務改善を重ねてきた結果、昨年末に念願が叶いました。次なる成長に向けて、やっと足場が固まったという感じでしょうか。
そして、時を同じくして、会計・ERPソフトのグローバル・アライアンス「ALAE(アーレイ)」を発表。世界各地のローカル・ナンバーワン会計ソフトやERP同士を連携させることで、グローバルな業務管理一元化を低コストで実現するものだ。中国、ベトナム、韓国など、すでに5カ国のベンダーが賛同しており、そのポテンシャルの大きさが注目されている。
先述したイギリス製ERPとの提携、マレーシア進出で苦杯を舐めたから、ゼロから考え直したんです。中堅・中小企業のグローバル進出を支援するために、会計導入はどうあるべきか。グローバル対応のERPは高額で中小企業には手が出ないし、また、現地の会計や税制度への対応は、圧倒的に現地の製品のほうが有利なわけです。
では、どういう仕組みにすればいいのか。そこで発想したのが、航空業界のスターアライアンスやワンワールドのような仕組みです。海外の有力ベンダーと提携して、データを連動できれば連結決算もできる。現地では使い慣れたローカルソフトを使えばいいし、トレーニングも簡単です。以前は壁になった価格も、月額2万円ほどの利用料で提供できますから、これで本当に、中小企業のグローバル進出を支援できるようになりました。
思えば、僕はいつも問題意識を持っていて、「どうやって解決するか」を考え続けているんですよ。そこに執着があるというか、課題をひもとき、解を求めていくプロセスが好きなのです。そのためには、いろんな分野に通じていなければなりません。今実感するのは、会計士はもっと経営を知るべきだということ。もとより、様々な会社の経営に触れられる会計士って、経営者に向いているはずなんですよ。最近では、ベンチャー企業のCFOを担う会計士も増えてきていますが、とてもいい傾向ですよね。経済の流れを読み、経営、法務、労務などといった広範な領域をもっと学び、力ある会計士が育っていけば、日本にも、もっと強い会社が生まれるのではないでしょうか。
※本文中敬称略
ピー・シー・エー株式会社代表取締役社長 CEO水谷 学
[主な役職]
日本公認会計士協会IT委員会XBRL対応専門委員、一般社団法人XBRL Japan理事、社団法人コンピューターソフトウェア協会筆頭副会長、社団法人日本コンピュータシステム販売店協会監事など
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