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Accountant's magazine vol.30

-アカウンタンツマガジン-
2015年06月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第8回「会計、監査の専門レベルの教育、訓練を行う機関の重要性を問う」

青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

今、公認会計士の不足が深刻化している。会計士試験に合格したものの、監査法人に就職できない「待機合格者が1500人にも上る」と騒がれたのは、ほんの2、3年前のことだった。改めて監査という業界の“インフラの弱さ”を痛感させられたのは、私だけではないだろう。市場が限定されているうえに、需要は景気変動の影響を強く受ける。すぐれて構造的な問題なのである。

事実、これまでも何度か同じようなことが起きている。私事で恐縮だが、私自身がかつての会計士二次試験に合格した1974年頃も、年齢の高い合格者などが職にあぶれた時代だった。大学院生の身分で、監査業務のアルバイトも経験したが、先輩たちから「国家試験に合格したのに仕事がない現状を、上に訴えるべきだ」と焚きつけられて、当時の会計士協会の会長のところに“直訴状”を持って行ったことを思い出す。「まだ20代半ばのピュアな青年だった」と言ってしまえばそれまでだが、以来、長い間、“危険人物”視されたのには閉口したものだ。

さて、話は変わるが、2005年4月にスタートした会計大学院制度が、ちょうど10周年を迎えた。だが、残念ながら、設立当初の期待に応えられていないのが現状である。原因は多々あるだろうが、会計や法律などに関する高度専門職業人の養成を行う場が日本の正規の高等教育にない以上、専門職大学院は必要不可欠な存在だ、という持論は、いささかも変わらない。

そもそも、監査は、ある企業なり団体なりが報告する情報に対して、「確かに間違っていません」とお墨付きを与える行為である。それがあるからこそ、みんながその情報を信用し、自らの意思決定を的確に行って次なるステップに進むことができる。そういう意味で、民主主義社会を支える根幹にあるものだといっても、過言ではない。監査というと、何か相手を縛りつけるもの、“岩盤規制”の象徴、といったネガティブイメージばかりが増幅される現状には、強い違和感を覚える。

こうした状況を打破するためにも、会計、監査というものに対する専門レベルの教育、訓練を行う機関の重要性は、ますます高まっている。会計大学院には、何とか“冬の時代”を乗り越え、本来の役割をしっかり果たしてもらう必要がある。

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Profile

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 教授・博士 八田 進二

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科 博士課程単位取得満期退学。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。2005年より現職。現在、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員を兼務し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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