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現場で働く会計士の声

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Accountant's magazine vol.15

-アカウンタンツマガジン-
2012年12月01日発行

会計士の肖像

「我々は、独占的な資格を与えられているのだから、それに恥じない仕事をすべき。常に矜持を正しながら―」

東日本税理士法人
病院経営アドバイザー長 隆

医療経営を多角的に支えるプロ集団を率い、さらなる研鑽を積む

07年から、総務省は病院事業を設置する地方公共団体に対して「公立病院改革ガイドライン」を打ち出し、経営改革に取り組むように要請している。このガイドラインを作成するにあたって、構成された公立病院改革懇談会の座長を務めたのは長である。それまでの仕事が認められて白羽の矢が立ったわけだが、ここでも長は、信義を重んじながら、その腕をふるっている。

当時、総務大臣だった菅さんから座長を任命された際、「いずれ、長さんのコピーを100人つくる」と言っていただけたのは嬉しい話なのですが、スタートから僕はかましました。予定にあった当初の懇談会名簿を見たら、人は多すぎるし、県の代表者が中心で、どうも調整色が強く……「被告が裁判官をするのか」と。僕は口が悪い(笑)。ほぼ希望どおりのメンバーにしてもらい、6人の委員でスタートしました。ガイドラインの作成についても、見てもらえばわかりますが、文章はすべて断定的なものにしています。例えば「病床利用率が3年連続して70%を切ったら、診療所になる」というように。役所っぽい、判断に迷うような曖昧な表現はなし。そうして責を担い、腹をくくらなければ物事は進みません。

一つ、大きな成果だったと思うのは、PFI方式で新築した、いわゆる豪華病院をやめさせたこと。事例としては、近江八幡市立総合医療センターや、高知医療センターです。PFIは何より金利が高いし、建設や管理運営を委託する特別目的会社が入ることによって、組織が二重構造になるなど、問題が多い。僕ら外部委員が入って、それらを調査、指摘し、PFI解約へと運んだのですが、これに続く例はどんどん増えてきています。PFI事業を儲けの対象にしようとする関係機関の術中にはまって、自治体や病院が破錠するのは看過できませんよ。ガイドラインに「PFIは好ましくない」と明記したものだから、国会の予算委員会では、けっこうきつくやられましたけどね。PFIで“ご馳走”を食べている関係者が困るということなんでしょう。

でも一方で、公立病院改革ガイドラインをよく評価してくれて、積極的に動く後輩がたくさん出てきたのは嬉しいことです。まる5年経って、効果は確実に出てきた。数々の第3セクターの悲惨な状況を見れば、”生き返らせるための改革“を本省がリードした数少ない例だと思いますね。

「日本一の医療経営特化の会計事務所を目指す」。東日本税理士法人が掲げる経営理念だ。医療経営士の資格を持つ職員も多く、自治体病院をはじめ特定医療法人、社会医療法人など、業界全般において、複雑化・多様化する顧客ニーズに力強く応えている。それを実現しているのは、「毎日が勉強である」という姿勢を貫いているからだ。

現在、取り組んでいる大きな仕事は、千葉の旭中央病院の委員長職務代行です。病床数約1000、全国で最大規模を誇る公立病院で、優良病院として総務大臣表彰も受けた名門。ところが、20人近くものお医者さんが一斉に辞めたことで、大きな将来リスクを抱えることになった。3年で資金が枯渇するという予測です。会計士として問題にしたいのは、僕が委員として呼ばれる前に務めていた公認会計士の改革委員長が、「極めて順調。問題なし」としていたことです。現場への理解がない。旭市の市立病院でありながら、患者の7割が周辺の市外から訪れているという状況、コンビニ受診による医師の疲弊など、現場に出向けば、深刻な事態は見えてくるはずなのに。

病院経営のコンサルティングに関与するなら、机上ではなく、自分の目で確かめながら、常に勉強していなければなりません。うちの職員たちに「医療経営士の資格を取りなさい」と言っているのは、そういうことです。僕もこの歳で、2級資格を取るべく必死ですよ(笑)。今は、会計や税務の知識だけで、商売できる時代じゃありません。仕事に恵まれないとか少ないとか、甘ったれたことを言っててもダメで、勉強しなきゃ。専門性と力を磨く。そうすれば、会計士が活躍できる土壌は広いのだから、必ずチャンスはある。僕もね、死ぬまで仕事したいし、この調子で闘い続けますよ。

※本文中敬称略

Profile

東日本税理士法人 病院経営アドバイザー 長 隆

東日本税理士法人病院経営アドバイザー長 隆

1941年3月14日
静岡県下田市生まれ
1958年4月
大正製薬株式会社入社
1964年3月
早稲田大学第二政治経済学部卒業
1967年3月
税理士試験合格
1971年9月
公認会計士第二次試験合格
1971年10月
監査法人太田哲三事務所(現新日本有限責任監査法人)入所
1975年1月
公認会計士登録
1976年7月
公認会計士長隆事務所開設
2002年4月
税理士業務部門を法人化し、名称を東日本税理士法人に

[主な委員など委嘱]
内閣府・行政刷新会議分科会評価者(2009年11月~11年11月)、総務省・公立病院改革懇親会座長(2007年7月~08年3月)、総務省・地方公営企業等経営アドバイザー(1995年~2006年)、総務省自治体病院経営改善推進研究会座長、ほか20を超える自治体病院改革関連の委員長・委員、大学の非常勤講師などを歴任

[主な共著書]
『高齢者ケア施設 開設ガイドライン』(中央経済社)、『医療法人のための税務調査対策(第3版)』(中央経済社)、『Q&A特定医療法人のすべて(第3版)』(中央経済社)、『Q&A病院再建と民事再生法』(中央経済社)、『Q&A医療法人の経営と税務(第3版)』(中央経済社)、『地方公営企業会計の基礎』(中央経済社)、『高齢者ケア施設マニュアル』(ダイアモンド社)など多数

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