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Accountant's magazine vol.76

-アカウンタンツマガジン-
2025年01月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

「"真骨頂"を発揮できる監査役への期待が高まっている」

大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

2024年も企業の不祥事が相次ぐ1年だった。世間を驚かせたのが、6月に発覚したトヨタ自動車、本田技研工業、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の5社による、国の認証制度である「型式指定」に関する不正行為だ。なかでもトヨタは、その後も試験データの書き換えなどが判明し、国土交通省から組織体制の改善を求める「是正命令」を受けている。業界の、いや日本の産業界の“盟主”が、規制当局から「ガバナンスがなっていない」と指摘されたも同然である。トヨタをめぐっては、22年以降、日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機と、グループ企業による認証検査不正などが相次いで明らかになっていた。ダイハツの一件を受けて23年末に行われた記者会見で、中嶋裕樹トヨタ副社長は、「責任は親会社としても大きく受け止めている。(トヨタは)問題があれば必ず立ち止まり、現地、現物でモノを確認する。これがダイハツに展開できていなかった」と述べた。しかし、半年後に“本体”の「現物確認」がどのようなものだったのかが、白日の下に晒されてしまったかたちだ。

こうした不祥事の代償は、ブランドイメージの低下にとどまらない。11月6日に発表されたトヨタのグループ全体の9月中間決算では、認証不正に伴う一部車種の生産停止で国内販売が落ち込んだことなどが影響し、営業利益、最終利益ともに2年ぶりの減益を余儀なくされたのだ。

ところで、先のダイハツの不正発覚を受けて行われた記者会見に、トヨタの豊田章男会長が姿を見せなかったことには強い違和感を覚えた。グループのガバナンスが問われる事態であれば、当然、トップが出てきて、今後に向けた確固たる姿勢を示すべきだろう。そして、しっかりした説明責任(アカウンタビリティ)を果たすべきであった。それを怠ったところに、グループの“ガバナンス不全”が透けて見えたのである。

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大原大学院大学 会計研究科 教授 青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学) 八田 進二

大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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