The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
tripla株式会社
取締役CFO岡 義人
IPO後は、企業価値向上にかかわる広範な業務が岡氏の使命となった。なかでもM&Aの比重は大きい。
「23年11月、日本政策投資銀行と共同で、インドネシアのBook and Link社の株式を取得。現物出資というあまり例のない手法の買収をかたちにしたことは、得難い経験となりました。また当社にとって、東南アジア進出は上場時に定めた目標。そのための最初のマイルストーンを達成できたと思っています」
今、岡氏が考えるCFOの面白さとは、どんなところにあるのか。
「やはり、業務が一つに限定されていないところだと思います。監査法人時代は、ある限られた範囲を深く掘り下げるイメージがありました。CFOには深さも大事ですが、それ以上に〝広さ〟が求められます。またCFOという立場のおかげで、確かな情報に対するアクセシビリティが格段に上がりました。だからこそ、どんどん学習が進む。例えば経営企画部の一担当だった頃は、法令の詳細を確認したくても、弁護士に直接尋ねるなんてできませんでしたから。これからも学び続け、自己成長を続けたいですね」
最後に、CFOを目指す若き会計士へのメッセージを岡氏に求めた。
「CFOの業務を限定して考えないほうがいいということです。つい経理・財務に目がいきがちだと思いますが、予算管理、人事、総務と、CFOに求められる役割は広範です。実際、優秀な経理マネジャーが一人、右腕についてくれたら、自分が経理の実務にかかわる時間は減るわけです。そのようにして、会計人としてより視座を高く持つことで、企業価値を高めるために自分がやるべきこと、やりたいことが見えてくると思います。そのためには、監査法人の外に出ていくことが有効ですが、仮に監査法人内で会計士を極めたいと思っているとしても、一度は監査法人の外の空気を吸ったほうがいい。具体的には、数字や事業計画を〝レビューする〟側ではなく、〝つくる〟側を経験してみるということです。すると、クライアントの本音がわかり、独りよがりではないアドバイスができるようになるし、会計人としてより成長できる。私はそう思います」
tripla株式会社取締役CFO岡 義人