The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社ジーニー
上級執行役員 CFO菊川 淳
次の転職は、その会計士資格を生かしたものだ。リーマンショック後に投資環境が一変したのを受けて米国系投資ファームを退職し、デロイト系のアドバイザリーファームへ。国内大手企業の連結決算、IFRS導入支援、内部統制の構築支援などにあたった。
ここまで順調に〝経営者になるため〟に必要なものを積み上げてきた菊川氏。13年には、一度独立を果たしている。複数のPEファンドにかかわり、ファンド組成や資金調達、対象案件のソーシング、デューデリジェンス、バリュエーション、ほか投資先の支援などに従事した。同時期に会計士の派遣事業も手がけている。
「独立して、経営者としてやりたいことができている感覚はありました。一方で、ファンドの仕事は拘束時間が長く、これでは社員として働くのと変わらないとも思ったんです。それに、自分が動くだけではビジネスをスケールさせるのに限界があります。もう少し社会的インパクトがある仕事がしたくなり、自分の会社を整理することにしました。また、ファンドは投資がうまくいけば完結する点で一つのプロジェクトのようですが、事業会社の場合は、その先のストーリーにも経営層として長く立ち会っていくことができる。ビジネスをより〝自分事〟に捉えられるポストを模索しました」
PwCを経て、19年に入社したのが株式会社ジーニーだ。同社の事業領域は広告プラットフォーム事業とマーケティングSaaS事業の2つ。簡単に言えば「モノやサービスを検索したユーザーを任意のサイトに連れてくるまでが広告プラットフォーム事業。そのユーザーを優良顧客へと育てる〝ナーチャリング〟を担うのがマーケティングSaaS事業」だと菊川氏。主力プロダクトである広告掲載メディア向けの配信プラットフォーム「G E N I E ESSP」は、国内シェア1位を誇る。
「入社して驚いたのは、やはりビジネスのスピード感です。意思決定も事業展開も早いですし、それに合わせて組織もどんどん変動していく。対処しなければならない新しい課題が頻発し、気づけば一日が過ぎている、という毎日。私にとってこの環境は非常に楽しいですね。反対に、同じ仕事をコツコツと地道に続けたい人には向いていない環境かもしれません」
株式会社ジーニー上級執行役員 CFO菊川 淳