The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社M&A総合研究所
取締役 管理本部長荻野 光
M&Aの仲介事業を行うM&A総研の創業は18年10 月。今でこそ約150人が東京・丸の内のオフィスビルで働いているが、荻野氏が入社した20年3月の時点では従業員数15人程度。「売上目標に届かない月」もあるなか、六本木の雑居ビルに入居し、コストを抑えながらの経営だった。しかし、IPOという目標は明確。荻野氏の役割は「会社が立ち上がるなかで出てくる種々の問題に対処しながら、証券会社に提示された課題をひたすらクリアしていく」ことだった。
「労務や経理などを含め、上場企業にふさわしい管理体制をつくることが私の仕事でした。人手が足りない若い会社でしたから、営業やシステム以外のことは何でもやっていましたね。壊れたトイレを直したり、社内のゴミをまとめてビルの裏のゴミ捨て場まで運んだり。オフィスも古く、今思えばすさまじい就労環境。よく続けられたなと思います(笑)。それでも、上場できる確信はありました。先程触れた〝数字がわかる経営者〟は、入社要素として30%ぐらいで、残り70%は『この会社を上場させる』という自分自身の強い意志。それは、これからベンチャーに行く会計士にもお伝えしたいですね。結局のところ、成否は上場準備責任者となる自分次第なのだと思います」
上場準備は「比較的順調に進んだ」と言う。その理由として荻野氏は監査法人時代の経験をあげる。
「繰り返しますが、上場を目指す会社を多数見てきたので、これから何をするべきか、どこでつまずくのか予測がつきました」と荻野氏。
「もう一つ、これは監査法人時代に鍛えられた仕事のスタンスですが、〝リスクアプローチ〟を常に意識していました。どこにリスクがあるかを事前に特定して、そこにリソースを集中するということです。上場準備においても、審査で聞かれそうな点やリスクだと思われそうな点を自ら洗い出し、ひたすら潰し続けました。自分がこの会社を審査するとしたらどこにリスクを感じ、どんな質問をするのか、常にシミュレーションしていましたね」
株式会社M&A総合研究所取締役 管理本部長荻野 光