The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
Kudan株式会社
取締役CFO中山 紘平
いくつかの企業を見て回るなか、次なる活躍の場として選んだのがKudan株式会社だった。自動運転やロボティクスに欠かせない人工知覚技術を主事業とする。
「この企業なら『世界にインパクトを与えられるかもしれない』と直感。私が入社したのは上場直後だったのですが、本社社員5人程度なのに時価総額は1000億円以上で、すでに業界のスター的な存在でした。そもそも海外で当初設立されたベンチャーですし、初めから世界に技術を浸透させようとしている。そういう日本企業らしからぬところに魅力を感じました。経営陣と歳が近いのも、仲間としてともに戦っていきたいと思った理由の一つです」
中山氏は、入社直後から決算業務、資金調達・IRを担当。ドイツ企業の買収も手掛けた。21年6月にCFOに就任して以降は、管理業務全般を主管し、特にファイナンス・IRをリードしている。
「当社は、自動運転車やロボットのために3次元地図を自動で作成し、自分の位置を認識するソフトウェアである『SLAM』という技術を提供しています。これを自社開発している会社は世界でも10社ないぐらい。技術的にはまだ発展途上ですが、ソニーやNVIDIAといった大手企業とパートナーシップを組み、開発を進めています。世の中がどんどん自動化されていくことを考えると、当社の技術が広がるポテンシャルは大きい。投資家の皆さんにも、そこに期待していただいています。一般消費者の目に見える技術ではありませんが、気づいたらあらゆるところに当社の技術が用いられている。そんな未来を実現したいですね」
自身が目標としていたCFOというポジションに就いた今、その仕事の魅力をどう感じているのだろうか。
「よくも悪くも責任が広い。例えば経理財務もCFOの一つの機能ですが、今は人事の重要度も高くなっていますし。とにかくいろんなものを見る必要があり、自分の判断一つで会社が変わっていく。それがまた会社が世の中に与えるインパクトの大きさにもつながっていきます。裏を返すと、CFOに就いてから私は、自分のキャリアや成長のことを考えなくなりました。考えるのは『会社の成長のために何ができるか』であって、自分のことは二の次です。またそう考えるのが経営陣にとっては当然と思っています」
中山氏には、明確なキャリアのビジョンがないまま、もがき苦しんだ時期がある。だが、そのさなかにも、監査からコンサル、ドイツ出向と、挑戦することをやめなかった。
「その経験から言えるのは、止まるよりは動いたほうがいい、ということです。たとえ大きな目標はなくても少しでも今よりいい、面白いと思えることは、絶対にやるべき。監査法人のコンサル部署に異動したのは『監査よりはいいだろう』という消極的な理由ですし、海外出向に手を上げたのは『なんとなく面白そう』でしたから。それでも今振り返ってみると、CFOへの興味や海外を舞台にした仕事につながっている。点と点がつながって線になるって、こういうことだと思います」
Kudan株式会社取締役CFO中山 紘平