The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
GMOフィナンシャルホールディングス株式会社
取締役兼常務執行役 CFO山本 樹
充実した監査の仕事を離れ、事業会社に身を投じたのはなぜだったのか。監査法人でパートナーを目指すのも、一つの選択肢だと考えていた。「どうしても転職、という気持ちはなかったのです」と山本氏。しかし一方で、監査法人を退所した会計士たちが多方面で活躍する様子を見聞きしてもいた。
「ここでまた安田さんが出てきます。GMOインターネットに転職した安田さんと飲みにいく機会があり、そこで『だったらうちに』という話をもらったのです。当時はGMOインターネットが何をしている会社かよく知りませんでした。でも安田さんに言われたのは『金融事業を始めたが、金融に明るい人材がいない。銀行監査をしていた山本にとって、やりがいのある仕事だと思うよ』と。若かったせいもあって、あまり深く考えず、『なんか楽しそうだ、面白そうだ』という気持ちがふくらんで、転職を決めたんですよ」
こうしてGMOインターネットに入社したのが2007年7月。まず与えられたのは、連結会計の責任者としてのポジションだった。GMOインターネットは当時も今も変わらずM&Aに積極的だ。山本氏は、複数の子会社を指導しながら、グループ全体の会計方針を一つにまとめあげていく。
「すごく面白い仕事だったと思います。それまで監査で培ってきた知識を発揮できましたし、またそれまで外部から見ていた事業会社を内部から見るのも新鮮でした。M&Aがあるたびにプロジェクトチームが組成されて、私もそこにアサインされて。挑戦する機会の多さとスピード感は、ベンチャーならではだと思いました」
次の転機は12年。GMOクリックホールディングス(現GMOフィナンシャルホールディングス)に、CFOとして転籍したことだ。当時、GMOクリックホールディングスの海外上場プロジェクトが進んでおり、山本氏に白羽の矢が立ったのだ。しかし、プロジェクトは頓挫。以降、GMOクリック証券取締役としての業務が主となっていく。GMOクリックホールディングス全体の予算の管理、新事業の検討、IRなどを担いつつ、複数の子会社の取締役を兼務するようになったのもこの頃だ。またGMOクリックホールディングスは15年4月に上場したが、これを主導したのも山本氏である。
「当時のGMOクリックホールディングスはGMOインターネットの100%子会社で、傘下のFXプライムがジャスダックに上場していました。金融事業を行うGMOクリックホールディングスとしては、いつか確実に資本調達が必要になりますし、証券事業は資本市場とのつながりが大事になるので上場したい。そこで、ジャスダック上場のFXプライムを活用することとしました。具体的にはFXプライムを株式交換により完全子会社化して上場を廃止。代わりにGMOクリックホールディングスが上場する、というスキームを組み立てました。前例があまりないため簡単ではなかったですが、結果は成功です。ただし、審査プロセスは普通の上場と同じでも、取引所で“鐘を鳴らす”セレモニーがなかった。あれはちょっと寂しかったですね(笑)」
GMOフィナンシャルホールディングス株式会社取締役兼常務執行役 CFO山本 樹