The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社Speee
取締役 経営管理本部長西田 正孝
Speeeに入社したのは09年4月。西田氏の役割は管理部門の組織づくり全般だ。
「アウトソースしていた経理業務を内製化し、人事や総務のスタッフを採用してと、ぜんぶ一人でやっていました。整っていない組織を整えていくのは面白かったですね。経理をアウトソースした先が使っていたソフトが特殊だったのか、『データを吐き出せない』と言われたことも。1年半分の仕訳データをぜんぶ紙でもらって2日間入力し続けました。おかげでその間の会社のことが全部理解できた(笑)。新しい知識を身につけていくのも楽しかったです。弁護士と話をする時は事前に勉強をして、対等に話せるようにしておくとか」
実はSpeeeは創業2年目ながら上場準備を始めていた。業績も右肩上がりできていた10年の終わり、上場審査が始まる直前だった。当時は上場社数が歴史的に少なく、同社の競合企業も業績が振るわなかった。
「すると、どうしても競合と比べて評価されてしまう。上場によって調達できる資金と、上場しないまま翌期も経営して得られる利益とを比べてみたら『上場する意味はないな』と。だったら、市場環境がよくなり、自分たちもさらに業績を伸ばしたタイミングで上場しようということに着地した。私としては上場準備の仕事がなくなるかたちでしたが、会社はちゃんと伸びていました。以降は、国内外の子会社の立ち上げやM&Aなどにかかわりました。小さかった組織が大きくなっていくプロセスを感じられるのは嬉しいこと。また、会社が成長するにつれて、私の役割も増えていきました」
改めて上場準備に入ったのは17年の終わり頃だ。そして今年7月に、上場を果たすことになる。
「一度上場に向けて整備をしていた分、ゼロから上場を目指す会社とは状況が違ったと思います。従業員規模も400人を超えてタレントが揃っていました。自分が手を動かすケースも少なく、事前に聞いていたほどハードワークではありませんでした。それに当社が特殊だったのはコロナの影響です。今年3月に上場承認がおりたのですが、その時は取り下げたんです。6月にもう一度上場承認を得て、7月にようやく上場。でも当日まで何があってもおかしくないと思っていましたし、期待しないようにしていました。上場当日も感慨深さはそれほど(笑)」
感慨深さがないのは、ジャスダック上場は一つの通過点にすぎないからでもある。次の目標は東証一部上場だ。
「東証の市場再編で一部市場がプライム市場に切り替わります。これにともない、ステップアップの難易度が格段に上がりました。事業を伸ばすために、私ができることはなんでもやっていきたい。会社が成長するにつれて、また新しい役割が生まれるはずです。若い公認会計士へのアドバイスですか? 会計という太い幹を持ったうえで、どんどん横に経験を積んでいく、“T型人材”を目指してほしいと思います。そういう経験を積んでいくなかで、自分でいえばIPO経験といったさらに太い幹が育ちましたし。可能性を限定せず様々なことにチャレンジしていってほしいです」
株式会社Speee取締役 経営管理本部長西田 正孝
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