The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社フィル・カンパニー
取締役 戦略事業本部長小豆澤 信也
社長室長といっても、日がなデスクに鎮座しているわけではない。
「営業もやりましたし、建築関係のチェックから業務フローのつくり直し、監査対応、クレーム処理まで、それこそ“何でも屋”です。自分にしかできない重要なミッションとしては、業務提携やM&Aなどのアライアンス関係がありました。M&Aにしても、アドバイザーとしては経験しましたけど、当事者としてやったことはない。そこにやりがいも感じて、初年度から、どうやって会社の基盤強化を図るのかに、意識して取り組みました」
コインパーキングは、全国に6万カ所を超えるという。同社は、現在までにその上に170棟の建物を建てた。
「比率にすると0.3%です。コインパーキングは、人通りがまばらな所にはつくりません。ということは、その上の空間を活用できる可能性が、そもそもある。実際、地主さんなどのニーズは非常に高いんですね。事業を飛躍的に拡大できる市場が、そこにあるわけです」
課題は、「そのニーズに応えるだけの仲間が足りない」ことだ。
「人を増やすとともに、増えた時に対応できる仕組みづくりが必要になります。みんなが同じベクトルで動いていくためには、当社の言葉で言うと“魂”が乗ったマネジメントのできる人材が不可欠ですから。今は、そういう人材を懸命に育てているところです」
本格的な拡大のフェーズに入る会社を取締役として支える小豆澤氏は、同時に「僕は、生涯多くの経営者の“諸葛孔明”として働きたい」と話す。
「当社は、夜は真っ暗になってしまう場所に、明かりを灯していく仕事をしています。そこには新たなビジネスが生まれ、経営者が集まってくるわけですね。個人事業では絶対につくれない経営者の無限のネットワークが、そこにできる。彼らの軍師として価値を提供したいというのが僕の夢です。会社と共存共栄、大きなシナジー効果を生むことができるはずだと思うんですよ」
「会計士を志し、資格を取り、様々なビジネスを経験したことは、すべて糧になった」と、小豆澤氏は言う。
「会計監査にはゴールがあります。どういうプロセスでそこに到達するのか、という思考が鍛えられ、ノウハウも蓄積される。ビジネスで常に必要になるのも、在りたい姿から逆算してどうするのか、という仮説なんですね。それをある程度の精度で構築できて、なおかつ数字で説明できるというのは、大きなアドバンテージだと感じるのです。とはいえ、僕も計算して今のポジションに就いたわけではありません。自分の未来はわからない。ただ、今現在嫌だなと思ってやっている仕事も、3年後、5年後には、必ずプラスになっているはず。そのことは、若い世代へのメッセージとして伝えたいですね」
株式会社フィル・カンパニー取締役 戦略事業本部長小豆澤 信也