熱き会計人の転機
株式会社キズキ
ビジネスカレッジ事業 公認会計士林田 絵美
2018年9月、不登校や引きこもりの子供たちのための学習塾を運営するキズキに転職。キズキとはどこで接点が?
林田プロボノ活動のなかで安田代表と同じイベントに登壇したのが最初です。その後のやり取りのなかで、「発達障害当事者のための会計士の予備校をつくりたい」というアイデアを話す機会がありました。
ところが安田代表はもっと大きなことを考えていて、「うつや発達障害で離職した人のためにビジネススクールを新しくつくりたい」と。それが今、私がかかわっている「キズキビジネスカレッジ」のアイデアだったんです。率直に「それやりたい!」と思いました。転職エージェントや周りの会計士の方には「独立して会計事務所を持ち、業務委託としてかかわるほうが会計士のキャリアとしてはいい」とも言われました。でもやはり、私はそれを本業にしたかったんです。
キズキビジネスカレッジ」について教えてください。
林田うつや発達障害のために離職してしまった方々のための学校です。行政の「就労移行支援事業」の仕組みを利用しています。周りの人が普通に働き、キャリアを積んでいくなかで自分は3カ月で会社を辞めてしまったとしたらどう感じるか。多分それを“遅れ”と捉えますよね。でも本来、人との違いはチャンスになるものです。働いていない時間を人生やキャリアを見直すためのポジティブな時間に変える。そのためにキズキビジネスカレッジがあります。具体的には、会計・ファイナンス、プログラミング、マーケティングなどを学ぶことができます。
開校は2019年4月。私はキズキビジネスカレッジをゼロから立ち上げるために入社しました。財務計画づくりや費用対効果の考え方など会計のスキルが生きる業務もありますが、集客もしますし、当事者へのアウトリーチも、採用も。とにかくすべての業務です。
今こうして事業者側に立ってみると、監査法人時代の財務能力はすごく“しょぼかった”ですね。以前は財務諸表を証拠の積み上げとして捉えていました。でも事業者としてみると、数字は人間一人ひとりの意思決定の積み上げです。例えば「この価格なら買える」という消費者の声で価格も決まるわけです。その感覚は、事業者になって初めてわかったことです。
これからのキャリアをどう考えていますか。
林田まずは今の事業を形にしたいというのが一つ。ただ、このまま同じ仕組みで、とは考えていません。というのも就労移行支援という枠のなかでは対象にできない人たちもいるんです。例えば休職中や休学中の方ですね。そういった方々も対象にできるような仕組みも近いうちにつくりたいと思っています。
個人的な目標としては、「人との違い」を好奇心をもって捉えられるような社会をつくりたい。私は人よりも習得が遅かったり、話し方も少し変わっていたり、小さい頃から人との違いを感じながら生きてきました。そのせいで人にバカにされ、人との違いをコンプレックスに感じていたこともあります。でも、人との違いについて少しでも好奇心を持って知ろうという姿勢がある社会がつくれたら、今よりも暮らしやすく、働きやすい社会になるはず。発達障害に限らず、LGBTや外国人の人たちにとってもです。そんな社会を本気で実現したいです。
株式会社キズキビジネスカレッジ事業 公認会計士林田 絵美
キズキグループ(株式会社キズキ/NPO法人キズキ)代表
キズキが採用するにあたって大切にしているのは、会社の行動規範にフィットしているかどうかです。例えば「ファクトとロジックを用いて、自由闊達に議論をします」「どんなときもインパクトの最大化を目指します」「自らの感情をコントロールしながらコミュニケーションを行います」など。どんなに優秀でも行動規範を満たさなければ採用しませんし、行動規範を満たしていれば発達障害の有無も問いません。
一方、キズキビジネスカレッジは新規事業ということもあり、行動規範に加えて、一つの事業を立ち上げられるバイタリティのある方を必要としていました。その点、林田さんはもっともぴったりでした。個人の進みたい方向をサポートするのが当社の経営スタンス。事業立ち上げが一段落した後はまた別の事業に挑戦、今度はファイナンスの責任者に、ということもあるかもしれません。