The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社串カツ田中
取締役 管理部長坂本 壽男
15年の年明け早々、入社した坂本氏を待っていたのは、IPOを視野に、2月に迫った株主総会の準備を進めるという〝突貫工事〞だった。
「11月決算を閉めるだけでなく、明確な労務規定の作成や、取締役会をはじめとする必要な組織づくりを急がなければなりませんでした。それはもう大変でしたけど、面白かった。監査法人で〝見ていた〞決算を〝自らつくる〞というのは、10年間やってきた仕事の裏打ちをしているような気もして、非常に新鮮でしたね。事業計画のような未来の数字を弾き出す仕事にも、やりがいを感じました」
トップのリーダーシップ、経験あるCFOの的確なフォローもあって、同社は計画どおり昨年9月に上場を果たした。今掲げる目標の一つが、「1000店舗の達成」だ。
「現在、約150店舗を展開していますが、毎年40という新規出店は、さらに加速できるはず。ただし、立地、人材、教育のバランスのとれた伸長が条件で、これが崩れると質の低下を招いて、客離れにつながるリスクもあります。そこを支える経営管理体制の強化をどう実現するのかに答えを出すのが、私に課せられた使命だと思っています」
自らを「CFOらしくないCFO」と称する。
「自分の仕事の範囲を自分で決めたくないんですよ。取締役として、店舗開発にも営業にも口を挟みます。そうやって、みんながより力を発揮できる土台づくりをしたい。強いていえば、会社の財務数値などを見ながら、未来予測ができるのはCFOでしょう。ドライバーである社長にとっての、よき〝カーナビ〞の役割が果たせるよう、全力を尽くしたいですね」
取材中、坂本氏の口からは、何度か〝運〞という単語が漏れた。「節目節目で綱渡りするような運に助けられて、ここまできた」と話す。
「それを呼び寄せるためには、目の前の仕事を〝楽しんで〞頑張ることが大事。そうすれば、みんなが集まってきて助けてくれるのです。仕事もどんどん深くなっていく。いやいや仕事をこなしているような人が新しい環境に飛び出したとしても、成功確率は高くないと思うんですよ」
株式会社串カツ田中取締役 管理部長坂本 壽男