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「第二期 第6回基調講演 女性専門職業人が判断を下す時の課題」
参議院議員・公認会計士・税理士
竹谷 とし子
藤沼塾レポート
金融庁総務企画局長
池田唯一
私は、旧大蔵省時代から会計、監査にかかわる仕事に携わってきた。今回は、「そんな行政官には、今の監査の世界はこう見える」という視点を織り交ぜながら、「監査法人のガバナンス・コード」の概要、そこに込められた思いの一端について、述べてみたい。
今年3月に公表された「コード」は、“5つの原則”からなっていて、【原則1】で提示されたのは、会計士個々だけでなく、組織体としての監査法人も公益的な役割を担い、適正な監査を行う責務を有している、という認識である。監査の信頼性は、監査法人にとって“命”のはずである。特にトップはそうした自覚を強く持って、内外にその姿勢を示す必要がある、と強調されている。
ここでは、“構成員の士気”についても語られている。「現場の士気が低下している」という話は、我々もしばしば耳にしていて、非常に深刻に受け止めている。それを招かないように“適切な動機付け”を行うのは、やはり経営陣に課せられた重要な任務であろう。
また、構成員が課題や知見を共有し、積極的な議論を行うような「開放的な組織文化・風土を醸成すべきである」という指摘もされた。あえてそういわれるのは、外からは“閉鎖的”に見えていることを意味すると思うのだが、どうだろうか?
【原則2】で述べられているのは、それらを実行するためのマネジメント機能に関してである。監査法人は専門家の集まりであり、かつ人数も多く、大変マネジメントの難しい組織だと感じる。 にもかかわらず、あえていえば一般企業などに比べ幹部のマネジメントスキルが未発達なのではないか。そうした認識もあって提起されているのが、「実効的なマネジメント機関による組織的運営」なのだ。
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金融庁総務企画局長池田唯一
いけだ・ゆういち/1982年、東京大学法学部卒業後、旧大蔵省入省。85年、英国ロンドン大学LSE校経済学修士。国際通貨基金(IMF)エコノミスト、 金融庁総務企画局企業開示課長、市場課長、企画課長、総務企画局参事官、総務企画局審議官などを経て、2014年7月より現職。