The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社エボラブルアジア
取締役 CFO柴田 裕亮
実は同社は、柴田氏が15年5月に取締役CFOとして入社する5年以上前、IPO準備をスタートさせていた。
「IPOには瞬発力が必要です。その点では、ちょっと勢いの萎んでいる感じが、率直にしたんですね。そこにもう一度エネルギーを吹き込むのが、僕の仕事でした。おかげさまで経験は豊富ですから、『ここでみんなが立ち止まったら絶対にダメ』というのがわかる。反対に『みんながやろうとしているそれは、意味がない』というのも。いくら瞬発力といっても、メンバーが無理をして潰れてしまっては元も子もないですから、そこのさじ加減には非常に気を使いました」
そうした努力は実り、今年3月、東証マザーズに念願の上場を果たす。「失敗したら居場所はない」という決意で臨んだIPOだったが、今はそのメリットを実感しているという。
「メディア取材も増えましたし、いろんな面で会社のスピード感が加速度的に上がりました。上場準備に経営陣のリソースがいかに“消費”されていたのかも、よくわかりましたよ。それがなくなって、事業拡大にすべて振り向けられるようになったのも大きい」
それにしても、監査法人時代も含め、手がけたIPOは“負けなし”だ。
「もちろん、予期せぬことも含め、現場ではいろんな問題が起こります。ともすれば、無理じゃないかという空気が流れることもある。でも僕は、どんなことにも答えがあると思っているんですよ。問題の裏には、そう仕向けている人がいるのかもしれないし、外部要因かもしれない。それを探っていけば、必ず何とかなる。当社の上場でも、そのことを証明できました」
CFOとしての次なる課題は、「事業拡大に見合った体制整備」である。
「当社をメガベンチャーにしたい、というのが僕の夢なんですよ。戦後、官僚支配が続いた日本ですけど、これからは成長ベンチャーのような元気な企業に社会的な力が移行していく時代なのではないでしょうか。そんな社会変革の一翼を担えるような企業に成長していけたらいいですね。そういう未来も見据えつつ、まずは会社の掲げる時価総額1000億円の達成に向けて、やるべきことに全力を尽くしたい」
最後に、若き会計人に対するメッセージを語ってもらった。
「会計士の強みは、専門スキルを持つこと以上に、その資格を持っていろんな会社を見られることです。僕自身、その経験が今に生きている。そこに確信を持ってほしいのです。もし監査以外の道に進む気持ちがあるなら、ぜひ新たなチャレンジをしてほしい。自分の周りのあらゆるものが広がっていくことを実感できると思いますよ」
株式会社エボラブルアジア取締役 CFO柴田 裕亮