The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社インターワークス取締役
経営管理本部本部長大平 秀行
「じゃあ、辞めます」と見えを切った大平氏だったが、就職先の当てがあったわけではなかった。だから、会社のパソコン画面で、隣接するビルに転職エージェントを見つけたのは、幸運というしかない。「昼休みに出かけた」そこで紹介されたのが、IPOに向けてCFOを探していた、インターワークスだったのだから。
ただ、その新天地で待っていたのも、平坦な道ではなかった。06年に入社すると、すぐに上場準備に着手。これも初体験ではあったが、目の前の課題を着々とクリアし、主幹事証券会社の審査も通ろうかという矢先の08年、突然襲ったのが、リーマンショックだった。人材サービス企業のダメージは計り知れず、「パタリと人が動かなくなり、IPOどころか、会社自体が存亡の危機に立たされて」しまう。
取締役として、急遽課せられた新たな任務は、社の再生だ。
「求人メディア一本だった事業構造は、あまりに脆弱すぎる。事業を多角化しなければ、いつかまた、市場や景気の変動に翻弄されると考えました」
“事業多角化”のエンジンになったのは、計3社のM&A。先頭に立ってそれを推進したのは、大平氏である。
「対象企業の選定、デューデリジェンスから始まる一連の流れを、3回繰り返しました。そのたびに、会社が成長していく。それを実感できるM&Aは、正直楽しかったですね」
そうした努力も奏功し、社の業績は、早くも09年度には回復基調に乗る。
そして、昨年12月、リベンジを期した取り組みは実り、東証マザーズへの上場を果たす。実は、前の会社時代にも諸般の事情でIPOを中断した経験のある大平氏にとって、“3度目の正直”だった。
「20代前半に思い描いたことを、今実現できているのは、素直に嬉しい」と語るCFOに、今後について水を向けると、「例えば、経営トップとして事業を動かしてみたい、という気持ちがないではありません。ただ、自分にその器があるかどうかは、別問題」という答えが返ってきた。
会計士の資格を携えて、ビジネスの現場で活躍する人も増えてきた。
「資格が取れなかった人間が言うのも何だけど(笑)、事業会社の中で、会計士であること自体は、あまりアドバンテージになりません。しかし、その知識、技量は、明らかに武器です。スキルを武器にするんだ、という気持ちで出ていけば、相当面白い仕事ができると思いますよ」
株式会社インターワークス取締役
経営管理本部本部長大平 秀行