The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社アスカネット
常務取締役 CFO功野 顕也
念願かない、輪の中に入った功野氏を待っていたのは、「やはり監査法人とは違う」事業会社の現実だった。
「試験というフィルターを経た人間が集う監査法人は、よくも悪くも組織や人が均質化している。企業には、本当にいろんな人がいました。古参の社員の中には『インテリの若造にかき回されてたまるか』という目を露骨に向ける人も。経理周りをウンヌンの前に、組織がしっかりしなければ成長もIPOもありません。“誤解”を解き、管理部門の大事さを理解してもらうために、何人もと飲みに行き、腹を割って話しましたね。最後は『ともに親分を男にしよう』という、まあ浪花節です」
実はIPOも順風満帆とはいかなかった。東証マザーズへの上場準備をスタートさせてから、「赤字事業があってはダメ」と当時の主幹事証券から言い渡されてしまったのだ。
「今はまだ赤字だが、将来性の高い新規事業への投資資金調達のために、上場を目指していたのに……。突然はしごを外されて、上場どころか倒産の危機。自ら金融機関などを走り回り、頭を下げ、あるベンチャーキャピタルの投資を取り付けた時には、これでようやく眠れる、という思いでした」
念願のマザーズ上場を果たしたのは、2005年。07年には常務に就任した。
「CFOの役目ですか?我々にとって数字が重要な言語であるのはいうまでもないのですが、適切な経営の意思決定の助けとなるよう、その数字をいかにわかりやすくタイムリーに伝えるか。ひと言でいえば、その力が特に問われていると認識しています」
IPOも挟み、今年で入社16年目。功野氏は「この会社にすっかり情が移ってしまった」と笑う。
「会社はモノではなく、様々な人間の集う“場”である、が我々の基本的な考え方なのです。投資家にハッピーを届けるためにも、まずそこで働く人間たちが幸せでなければ。そうあり続けるために、経営者の一人としていろんなことにチャレンジしていきたい」
3年前には、自ら手を挙げて新規事業部門の責任者に就いた。
「情報や数字を集めて、開示や社内の意思決定用にまとめるのが今までの仕事でした。今度は売り上げ、利益という数字そのものをつくり出すところに携わってみたいと思ったのです」
そんな功野氏を、福田社長は「いい意味で、普通の会計士のイメージとは違う人物」だと評する。
「通り一遍の“経理”ではなく、ビジネスの真髄を知ったうえで自らの役割を果たそうとする姿勢が素晴らしい。これからのCFOに求められるのは、そこだと思いますよ」
最後に功野氏に、若き会計士へのメッセージを語ってもらおう。
「将来の夢を持つのはいいけれど、それに縛られるのはいかがなものでしょう。若い頃から選り好みなどせずに、目の前の仕事を誠実にやっていけば、自ずと進むべき道は見えてくるんですよ。会計士というのは本当にいいファーストパスで、糧となる経験のできるチャンスは、ほかの人よりも絶対に多いはず。選択肢を消すべきではない、というのが私のメッセージです」
株式会社アスカネット常務取締役 CFO功野 顕也
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