The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社一休取締役
管理本部大橋 広樹
ただし、2004年に監査法人を辞し、高級ホテル予約サイトなどを運営する一休に転職したのは、監査の仕事に嫌気がさしたからではなかった。
「中・高で一緒だった森(正文社長)とは、ともに浪人生活を送るうちに親しくなりました。『いつかは起業する』が口癖だった彼が会社を立ち上げたのは98年。数年経って上場を決断した際、準備には管理系の人間が必要だ、と僕に声をかけてきたのです。転職にはまったく抵抗はなかったですね。まあ、元来ものごとは行き当たりばったりに、こっちが面白そうだ、と決断するタイプなんですよ」
ところで、04年に正式入社した大橋氏だったが、ここでも“先回り”していた。森氏が起業すると同時に、会計士の資格を買われて「名ばかりの監査役」に就いていたのだ。「無報酬で非常勤。年に2、3回会議に出て、相談に乗る程度」だったそうなのだが……。
「本音を言えば、この会社がうまくいくとは、露ほども想像していませんでした。5万円で1株買ってくれと頼まれたのですが、お金をドブに捨てる感覚(笑)。それが01年頃だったか、『若い人間たちと頑張り、ようやく黒字化が果たせそうです』という株主向けのレターをもらったんですよ」
その頃から正式な会議以外にも、森社長に呼ばれる頻度は徐々に高まり、相談事項も多様化してきた。会社が成長している証である。それを実感できたことが大橋氏の背中を押したのは、いうまでもないだろう。
「入社即、取締役管理グループマネージャーとして上場準備に入りました。翌05年に東証マザーズ市場に上場するまでの正味1年間が、今までの人生で最も必死で働いた時期かもしれません(笑)。ただ、上場準備の作業自体は、あくまでもボリュームとの戦いなんですよ。とにかく量をこなして、会社の姿を正しくかたちにする作業といったらいいでしょうか。短期間に上場できたのは、会社が右肩上がりの成長曲線を描けていたから。それに尽きます」
「すぐになくなる」と思っていた会社事業が、ある日を境にぐんぐん伸びて、株式上場。目前の出来事を「これは千に一つのことなんじゃないか」と感じていたそうだ。その後同社は、07年に東証1部に市場変更となる。上場作業の中心となった大橋氏は、08年に常務に就任し、CFOとして経理、財務のほかIRなどを管掌している。
株式会社一休取締役
管理本部大橋 広樹
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