The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社IBJ取締役
経営管理部部長桑原 元就
IBJの中本哲宏副社長に会ったのは、その年の2月だった。
「ベンチャー企業の経営者というと、ちょっと“やんちゃ”なイメージですが、彼は銀行出身ということもあって、語り口調も穏やかで、でもすごいバイタリティを感じました。石坂茂社長もまたバイタリティ溢れる人物で、二人とも監査法人にはいないタイプ。掛け値なしに惹かれましたね」
中本氏の殺し文句は「刺激と苦労は、私が保証します」だった。
「苦労はウエルカムでしたが、刺激という言葉が僕に、ビビッときた(笑)。この人なら間違いないな、と感じました。思うのですが、特にベンチャーの場合は、10年先、ビジネスモデルがどうなっているのかなんてわからない。決め手は人だ、と僕は思います」
そうはいっても安定した大手監査法人から、チャンスもあればリスクもある上場前のベンチャー企業へ。さすがに1週間悩んだ桑原氏は結局、転職を決断。6月に監査役として迎えられた。
「会計士で、しかも監査役。最初は社員が誰も寄りつこうとしない。こちらから昼飯に誘ったり、コミュニケーションづくりには腐心しました。誘われたほうは『僕、何かやりましたか?』と驚いてましたけど(笑)」
入社1年半後の12年暮れ、IBJは晴れてジャスダック市場に上場を果たす。一方、監査役として問題点を指摘するだけでなく、解決策まで現場とともに考え、指し示していく桑原氏の仕事ぶりは、確実に経営陣の信頼を獲得していった。そしてこの3月、改めて取締役経営管理部部長に就任する。
「社長も副社長もタイプは違えど、自分にないものを持っています。目指すべき人間が間近に2人もいる環境で仕事ができるのは、本当に幸せです」
たぶんに“勇気ある転職”を実行した桑原氏だが、「会計士だから決断できた面も否めない」と話す。
「甘いと言われるかもしれないけれど、もし失敗しても会計士という資格がある。使いようによっては就職の切り札になるわけです。そういう意味では、普通の企業にいる人の転職のほうがリスキー。『会計以外のことを知らないから』と外に出るのを恐れる人もいるけれど、そんなことは一般企業の人はお見とおしなんですよ(笑)。知らないことは一から勉強する姿勢で臨めば、活躍の場はいくらでもあります」
ところで“自分で会社を”という学生時代の夢は、その後どうなったのか。
「もちろん捨ててはいません。この分野で、というのはまだないですが、いつか必ず実現したいと思っています」
株式会社IBJ取締役
経営管理部部長桑原 元就
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