The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社エディオン
常務取締役管理本部長 兼 財務経理統括部長麻田 祐司
麻田氏は当時の心境を、こう語る。
「コンサルティングでも税務業務でも、お客さまには感謝されたし、やりがいを感じました。ただあくまでもサポート役なのだ、というもどかしさを覚えていたのも事実です。サッカーに例えればマネージャー。やっぱり自分でフィールドに立って、泥まみれになりながら、みんなと勝利の喜びを分かち合いたいという気持ちが、自分の中で徐々に大きくなっていました」
とはいえ、上場企業の経理部長に“外様”が乗り込むのは、勇気が要る。一度は丁重に断ったのだが、結果的には久保氏の熱意に押され、入社を決断。04年のことだった。
「久保からは、『自前でM&Aのスキームをプランニングできる会社にしたい。ぜひ力を貸してもらいたい』ということと、『異なる文化で育った人がいるので、公平に判断できる人材が欲しい』といった話をされました」
同社は広島のデオデオと名古屋のエイデンが統合するかたちで持ち株会社として創設され、3年目を迎えていた。統合を血肉にしていくうえで、どちらの“利益代表”でもない幹部が求められたということだ。
「一つの大手老舗企業に途中からポンと入っていくのは難しいけれど、それだったら逆にやりやすいのかな、と感じました。あとはこの人にならついていきたい、という久保のカリスマ性が決め手になりました」
経理部長として同社の一員となった麻田氏は、すぐにその職に求められる仕事に没頭する。
「調べてみると、取引はけっこう複雑で、私の目から見ると会計方針の適用に関して少し曖昧な取り扱いも残っていたので、より適正な方向に修正しました。現場の反発もありましたが、今では『あの時やっておいてよかった』と言ってもらえています」
相次ぐM&Aでも、「財務・税務デューディリジェンスやファイナンスを含めたプランニング作成、あるいは組織再編税制に留意した合併のプランニングなど、監査法人、税理士法人時代の経験が大いに役立った」という。
麻田氏はその後08年に取締役財務経理部長(CFO)に就任、12年には常務に昇格した。
ところでトップは麻田氏のどこに惚れこんだのだろう。久保氏は言う。
「仕事ぶりを見て、会計士としての能力の高さはもちろん、真面目かつ気さくなその人柄が当社にぴったりだと思って口説きました。まったく理念の異なる会社が集まってくるなかで、エディオンとしてのコンプライアンス上必要なルールをしっかり構築できたのは、彼がいたからこそ。これからの当社を担う経営層の中心として、大いに期待しています」
株式会社エディオン常務取締役管理本部長 兼 財務経理統括部長麻田 祐司
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