経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)
顧問金児 昭
今回は、昨年末に出版した、近著の“宣伝”をお許し願いたいと思う。私はこれまで140冊の著書を世に出してきたが、これは最高の基本書ともいうべき本だからである。自分で言うのも何だが、書名はかなり変わっていて『金児(カネコ)のBu-Ki(武器=Weapon)=Book(決算書)-Keeping(経営=仕分け)』(税務経理協会)という。表紙の著者名の後に“76歳”という年齢も大きく明記した。類例はないということである。
本書の内容は、イタリア人のコロンブスによるアメリカ大陸発見(1492年)、ルカ・パチョーリによるBook-Keeping発見(1494年)から500年後の「21世紀の世界的大発見」だと自負している。執筆中、京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の開発でノーベル賞を受賞された。嬉しくなった私は、「先生に肖(あやか)り、平和なBu-Kiでノーベル賞を!」と、本の帯に掲げた。
ありがたいことに、有限責任あずさ監査法人パートナー、前国際会計基準審議会理事の山田辰巳さんが、月刊『税経通信』(税務経理協会)の2013年3月号で書評に取り上げてくださった。冒頭で本書の概要を述べていただいているので、引用させていただきたい。
「著者は、自身の考えを3つの『発明』としてまとめている。❶勘定科目は、残増減残という要素に分けて捉えられること、❷それらを対応する4つのマス(残増減残)で整理できること、そして、❸バランス・シートの利益剰余金の変動(増減)明細を示したものが損益計算書であることが、示されている。このような考え方を基に、本書では、簿記の専門用語(たとえば、借方や貸方)を用いずに、仕分けとともに、財務諸表の仕組みを説明している」
たとえば❸に関連して言えば、従来、バランス・シートと損益計算書は、何の疑いも持たれずに“並列的に”捉えられてきた。しかし実態は違うということに、私は気がついた。損益計算書は、あくまでもバランス・シート上にある利益剰余金の残増減残を説明するステートメント(説明書)なのである。言い方を変えると、バランス・シートが“親分”で、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書の3つは、その“子分”。そう理解すると、簿記はとたんに、ものすごくわかりやすくなる。
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経済・金融・経営評論家/前金融監督庁(現金融庁)顧問金児 昭
1936年生まれ。東京大学農学部卒業後、信越化学工業に入社。以来38年間、経理・財務部門の実務一筋。前金融監督庁(現金融庁)顧問や公認会計士試験委員などを歴任。現・日本CFO(経理・財務責任者)協会最高顧問。著書は2013年3月現在で、共著・編著・監修を含めて140冊。社交ダンス教師の資格も持つ。
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