The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
ミュージックセキュリティーズ株式会社
取締役管理部長讃岐 邦正
同社のビジネスのルーツは、若手ミュージシャンをファンが支援する「音楽ファンド」。基金をCDの制作費などに充て、売り上げが投資家に還元される仕組みだ。09年からは様々なファンドのプラットフォームである「セキュリテ」を創設、「ファンドの総数は、すでに償還したものも含めて180ぐらいになった」そうだ。
「当初、僕の主な仕事は社長の補佐と資金調達で、ベンチャーキャピタルなど金融機関と交渉をしてきました。でも今は、社員もだいぶ増え、会社の規模も大きくなりましたので、それを踏まえた社内体制づくりや、ファンド組成の数値面、法的側面のフォローなどが、今の主要な任務です」
まさに財務会計の枠を超えた貢献だが、あえて会計士として同社の経営に参画する意味を尋ねてみた。
「ファンド事業は数字的な判断が非常多く、財務分析が必要な状況も多々あります。また、ファンドと並ぶ当社の柱である音楽事業では、ある曲がどれだけ“売れて”いるかはCDの販売枚数だけでは計れません。印税に注目すると、どれだけ配信されているとか、カラオケで歌われているといった情報が浮かび上がってきます。アーチストではなく作曲家という切り口で数字を集計すると、誰が“売れる曲”を書いているかも一目瞭然。現場では気づきにくいことに気づくことも多いのです。ファンドも含め、常にそうした数字面でのアドバイスを行っていくことも、僕の役割だと思っています」
11年8月には、12年間務めたTACを退社、晴れて同社専任となった。
「とにかく社長が僕を信頼して、任せてくれる。それだけに期待を裏切るわけにはいかないという気持ちは強いですね」と、讃岐氏は言う。
そんな彼を、小松社長は「資格を持つ人のいいところは、高い倫理観、責任感を備えているところ。加えて讃岐さんは、会計領域を超えたスキルやリーダーシップを持っている、当社にとって得難い人材です」と評する。
「この会社に来てよかったと思うのは、“こき使って”もらえること。『君がいなくても大丈夫だよ』っていうのは、さみしいじゃないですか」と笑う讃岐氏に、会計士へのメッセージを聞いた。
「一番言いたいのは、この記事を読んで監査法人を1年で飛び出すのは辞めて欲しいということ(笑)。今にして思えば、1年目から楽しい仕事なんてないんですね。監査法人って、いろんな勉強ができるところだから、最低でも3年は経験すべき。そのうえで外に出るなら、大企業だけでなく小さなベンチャーにも、ぜひ目を向けてほしい。当社のような可能性を秘めた会社って、探せばいくらでもある。みんな会計士のスキルを必要としているんですよ」
ミュージックセキュリティーズ株式会社取締役管理部長讃岐 邦正
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