公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
花王株式会社
会計財務部門奥田 祐也
実際に、花王という企業の社員になってみて、感じたことは?
奥田新日本からは、僕と同時期に計18名が、この制度で出向しました。基本的に出向先を選ぶことはできないのですが、見せてもらったリストに花王の名前があって、「ここに行けたらいいな」と。夢がかなってラッキーでした。
IFRSプロジェクトにかかわってよかったのは、経理だけではなく人事とか研究開発とか、広くいろいろな部門の方々といっしょに仕事ができること。最初に、会社の全体像を俯瞰して見るのには絶好のポジションでした。
そんな仕事を通じて驚いたことの一つは、花王という企業の「消費者目線」の徹底ぶり。コンシューマー製品を製造販売しているのだから当たり前と言ってしまえばそれまでですが、営業はもとより人事、経理まで「消費者のために」という視点が貫かれている。こうした企業風土のようなものは、監査法人で働き続けていたら、きっとわからなかったと思いますね。
出向期間は3年です。2年目、3年目に向けた抱負を。
奥田「会社のことをよく知らないから」という甘えは、これからは通じません。花王の社員として、どこに出ても恥ずかしくない仕事をしたいですね。しっかり「消費者目線」を持って。
それから、今自分で見ているのは国内だけなのですが、いずれ海外もというような話になったら、そちらにもしっかり貢献したいと思っています。
3年の研修出向を終了した時に、その会社に残るという選択肢もあると聞いています。
奥田「帰ってこい」「残ってほしい」と、双方から求められるのが理想です(笑)。出向当初にあったのは、「事業会社を経験して監査法人に戻れば、そこで伝えられるものがあるはずだ」という思いでした。ただ、もし花王に残ってもそれが伝えられる状況が生まれたら、考えは変わるかもしれません。
あとに続く人へのメッセージを。
奥田“第1期”でしたから、確かに多少の不安はありました。でも今、最高の学びの場を手にした自分がいます。外に出てビジネスの本質を見てみたい会計士にとっては、間違いなく自己成長をもたらしてくれる制度です。そういう気持ちが少しでもある人は、臆することなく手を挙げるべきです。
花王株式会社会計財務部門奥田 祐也
花王株式会社会計財務部門 取締役 執行役員
出向を受け入れるに当たって日本CFO協会にお願いしたのは、「通常の実務ではなく、われわれとともにIFRSの導入プロジェクトに取り組み、それをリーダーとして推進できる人材が欲しい」ということ。そうでなければ、3年間監査法人でのキャリアを「犠牲」にして来る本人のためにもならない。
プロジェクトにおける奥田さんの役割は、IFRS導入のために必要な論点の整理。それを花王の実務に落とし込んだ時にどうすべきかを、それぞれのチームの人間が考えていく、というイメージだ。彼の会計士としての専門性はいかんなく発揮されており、われわれとしても勉強になることが多い。
あえて付言すれば、制度が会計士の「リストラ」を企図したものだという見方があるが、それは違う。リストラ目的ならば、奥田さんのような優秀な人間を出向させるはずがない。