The CFO –ニッポンの最高財務責任者たち-
株式会社オトバンク
取締役CFO新井 成道
実は、もともとCFOにいいイメージはなかったのだという。「コンサル時代に仕事をしたその肩書を持つ人たちは、ほとんど管理部長、経理部長みたいな立ち位置だった」からだ。
「前述した東証一部上場企業のCFOの話を聞いて、初めてその魅力に気づきました。私は社長にはなれないと思います。でも、社長を輝かせるブレーンにならなれる。会計知識という武器を備えた、なくてはならない〝サブ〞としての役割を果たすのが私の使命であり、そこに最高のやりがいを感じるのです」
とはいえ、同社の久保田裕也社長も「天才肌であり、努力を惜しまない」人物である。
「最初の頃は詰められてばかり。でも、私は監査法人時代からずっと、一度壁にぶつかったり怒られたりしては、解を見つけて乗り越えてきたんですよ。自分を成長させる〝無茶ぶり〞だったら、むしろウエルカム。それに応えることで、さらに信頼される存在になりたいですね」
取締役ともなれば、上からの信託に応えるだけではなく、マネジメントの力が試される。
「コンサル会社でも部下を持って仕事をしていましたが、全員男性だったんですよ。今の職場は女性が多いですから、『俺について来い』では、組織は動きません。とにかくマネジメントの仕方がわからなかったので、女性のマネジメントとか、男性脳・女性脳みたいな本を読み漁ったら、目から鱗のことばかり。勉強の成果ですか?自分では、多少はあったのかなと思っているのですけど(笑)」
入社当時、社長とCTO(最高技術責任者)が回すような状態だった管理部門の体制整備は進み、「1を話して10を理解してくれる」会計士も採用した。本物のCFOとして力を発揮できる環境は整った。
「逆にいえば、言い訳はできないということです。当社の今の課題は、とにかくオーディオブックの認知度を高め、市場を拡大すること。日本の市場はまだまだ小さいのですが、欧米の水準に照らせば800億〜900億円規模になってもおかしくない。成長を加速させるために必要なファイナンス業務に全力を注ぐ。それが私に課せられた最大の任務であることは、言うまでもありません」
様々な仕事の経験を経て、「自分のやりたいことは、CFOに集約されていることがわかった」と新井氏は言う。
「40代になった時には、また別の貢献の仕方があるでしょう。これからもゼネラリストとして、最大の価値を提供できるよう、前進したいですね」
株式会社オトバンク取締役CFO新井 成道