公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社
事務企画部 業務企画チーム徳山 勇樹
改めて、業務企画チームの仕事の中身を教えてください。
徳山簡単にいうと、金融機関を取り巻く国内外の制度の動向を調査し、当社の業務に影響のありそうなケースについてはそれへの対応を決定していく、というのが我々の任務です。制度というのは、例を挙げれば、国内の税制改正(消費税率変更など)、国内外の店頭デリバティブ規制(米国ドッド・フランク法など)といったものですね。対策を練るためには、まずそれらの制度をよく理解しなければなりません。そのうえで、変更後のあるべき姿を描き、システム的な対応の要否やその規模、対応部署の選定等を含めて検討していきます。いろいろな制度が変更される中で、当社が意見表明したいものも当然あります。そうしたケースでは、所属する協会などを通じて主張していく、といった業務も当チームの仕事です。
そうした業務に、会計士のスキルは役立ちますか?
徳山消費税率の変更などは、税制が絡む話ですから、会計士の知識が生かせます。ただ、会計・税務以外の様々な制度への対応に関しては、今までの知識や経験が直接役に立つという局面は、あまりないですね。でも、そのぶん自らの頭で理解し、解決法を探っていくのは非常に面白いし、やりがいを感じています。
付言すると、会計・税務に関する社内からの照会も受けていますし、IFRSの影響調査も行っています。そうした時に、監査の経験を踏まえた意見の提示ができるところは、会計士として貢献できていると感じています。
事業会社の中は、監査法人と雰囲気が違いますか?
徳山出向先では案件ごとにチームを組んで対応しています。会計士の立場とは異なる様々な観点で議論が交わされるため、多くの気づきを得ることができます。また、もともと当社設立母体の銀行から出向されている方も多く、周囲の社員は、私が監査法人からの出向者だということで壁をつくらずに、フランクに話しかけてくれますし、とても働きやすい職場ですよ。
出向して1年半ほどですが、今後の課題、目標を聞かせてください。
徳山今後も対応すべき制度変更がたくさんあるので、少しでも貢献できるよう頑張りたいです。また、私の会計や税務に関する知識や経験を多くの社員の方に引き継いでいってもらえるようにしたいです。日々の仕事や研修などを通じて、意識的に社員の方に伝えていきたいと考えています。
個人的には、ここまで金融関連に深くかかわってきましたので、さらにこの分野のキャリアを積んで、専門性を高めていくことを目標に置いています。
ほかの会計士にも、事業会社への出向を勧めたいですか?
徳山はい、ぜひ経験してみるべきだと思います。事業会社に来ると、監査法人にいるだけではわからなかったことが多いのに目が開かされます。一般企業の雰囲気や文化を体感できること一つとっても、監査のためのキャリアアップになるはず。3年間を費やす意味は十分ある、と私は思います。
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社事務企画部 業務企画チーム徳山 勇樹
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社執行役員 事務企画部長
当社の業務において非常に頭を悩ますのが、国ごとに違う税制だ。様々な国で発行、運用される有価証券が当社のファンドに入ってくるため、迅速かつ適切にそれに対応していく必要があり難易度も高い。ぜひとも社内に税や会計に関する高いスキルを持った人材が欲しい、というのが出向をお願いした目的だった。
徳山君に関しては、会計士というイメージとはかけ離れたパーソナリティの持ち主で、周囲ともすぐに溶け込んでくれた。ならばと、会計・税務だけでなくデリバティブの国際規制なども任せたところ、非常に力を発揮してくれ、助かっている。会計基準・税法の解釈などについて、よく彼には「会計士としてどう思うか」という問いかけをしている。会計・税務は無論のこと客観性や合理性を学んできた人間の意見は、最終的な判断の力強いサポートになっている。そういう意味でも、この制度を使ったのは成功だったと思う。