公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
株式会社ミクニ
経営企画・管理本部 経理室冨田 陽
本社での業務は?
冨田月次の決算をまとめ、分析して、取締役会や執行役員会そのほかで発表する資料などをつくるという、経理課長を補佐する仕事がメインです。あとはスポットでいろんな会計処理の相談に乗ったり、M&A関連のプロジェクトチームに入ったり。
まさに監査との違いを実感する日々ですね。
冨田監査は、投資家向けの財務諸表を相手にします。対象になるのは、あくまでも制度会計です。ところが企業経営者が最も気にかける数字は、管理会計的な、例えばその事業部門が3カ月後にどうなっているのか、という収益予測なのです。このギャップは、監査法人にいると認識するのが難しいと思います。監査では、すでにまとめられた数字が提出されるわけですけど、その背後にものすごい量の情報が“隠れて”いる。会社を本当の意味で知るためには、会計基準で測れる以外の部分に目を向けなければダメだと体感できたのは大きな収穫でした。
会計士の資格、経験は、会社経理での業務に役立ちますか?
冨田知識は当然として、会計士は会計基準に照らしてこの処理はこう、と筋道を立てて考える癖がついています。提出された資料を見て短時間でポイントをつかむ力も、考えてみれば監査の仕事を通じて自然に身についたものだと気がつきました。加えて、いろんな企業の監査をやっていること自体が会計士の強みなんですよ。経理のメンバーからは、「他社ではどうやっているのか?」という質問もよく受けます。そういう時に引き出しを開けて、あれこれ説明できるのは、会計士ならではですね。
逆に入社以降、会計のベースがない方たちに対する説明能力の欠如を痛感させられました。それがないと、いくら頑張って資料をつくっても、納得していただけません。どうしたらわかりやすく論理を組み立てられるかには、本当に腐心するようになりました。以前は勉強のために買うといえば会計の参考書みたいなものがほとんどでしたが、今は上手なプレゼン法とか(笑)、手にする本も変わりました。
出向期間はあと1年半ほどですが、今後の目標、課題を教えてください。
冨田ミクニは今、情報の「みえる化」に取り組んでいます。従来以上に経営者の迅速かつ正確な意思決定に資する情報の出し方を考え、自分がいなくなっても回っていく仕組みを、みんなと協力しながら構築したいと考えています。あとは、例えば3カ月先の業績予測について、より精度を高めていくのも、個人的課題だと思っています。
私は監査法人からいったん出たことで、先ほど述べたような強みも弱点も知ることができました。これからは特に、そうした点を認識しつつ、自らの付加価値を高めていくことが必要な時代なのではないかと感じます。迷っているのだったら、外に出て何をやりたいのかを明確にしたうえで、この制度を活用してみるのもいいのではないでしょうか。
株式会社ミクニ経営企画・管理本部 経理室冨田 陽
株式会社ミクニ取締役 執行役員 経営企画・管理本部 本部長
会社の発展にとって、“要”に位置づけられる経理部門だが、正直なところ人材不足も感じていた。この制度を利用した第一の目的は、バリバリの会計士に若手の経理メンバーに刺激を与えてもらい、全体のレベルアップを図ることだ。同時に、せっかく弊社に来てもらった以上、出向者には糧となる経験を積んでもらわなくてはいけない。「会社全体を見たい」という希望もあったので、冨田君にはまず「泥臭い」工場経理で当社を理解してもらい、本社に来てからは管理会計的な業務や、決算早期化、M&A関連のプロジェクトなどにも参加してもらった。
会計士が経済や会社の実態を知りたいと思ったら、大企業だけではなく当社のような中堅企業はうってつけではないか。他方、なかなか優秀な経理人材が採用しにくい中堅企業にとって、この制度は非常に意義のあるものだと感じる。