公認会計士「研修出向制度」体験者リポート
株式会社ファミリーマート
経理財務本部 経理財務部 連結決算グループ加藤 奈美
企業の経理で働いてみて、違いを感じたのはどこでしょう?
加藤とにかくみなさんフットワークがいいのに驚きました。それも当然で、情報は座っていても集まらないので、自分で現場に行って取ってこなければなりません。監査法人で接していたのは、会計の知識を持っている経理の方でしたが、事業会社ではいろんな部署の人が様々なスタンスで働いていますから、なぜその資料が必要なのかをかみ砕いて説明し、納得してもらう能力も求められます。
あと、監査ではもらった数字をチェックするわけですから、その構成過程を直接見ることはできません。実際に企業の中に入ってみて、出来上がった数字がいかに様々なセクションから得た情報が組み合わされたもので、将来に向けた長期的視点まで含めてビジネスに落とし込んだ結果なのか、肌で感じることができました。私にとって、文字どおり貴重な体験でしたね。
そうした体験は、監査の現場でも役立ちそうですか?
加藤私はそう思います。これはある意味仕方のないことだし、必要なことでもあるのですが、監査はどうしても基準に照らしてこうあるべき、に走る傾向があります。そこから一歩進んで、“あるべき枠”の中でクライアントのビジネスにとって最善の会計を実現しようと思ったら、やはり会社内部の意思決定のプロセスなどを熟知していなければなりません。本質的な部分で企業を理解しつつ、会計処理や手続きなどのアドバイスができる専門家になるためには、事業会社の経験がものをいうのではないでしょうか。そんな会計士が監査法人で増えれば、企業ともっとレベルの高い信頼関係が築けるだろうし、会計処理のスピードアップにもつながると思うのです。
今後の目標を聞かせてください。
加藤いろいろ偉そうなことを言いましたけど(笑)、まだ出向して半年ほどで、会社の意思決定の流れなど、わからないところも多々あります。そのあたりは、とてもフレンドリーなグループのメンバーのアドバイスも仰ぎつつ、自己研さんを重ねていきたいと思います。あと、機会があれば連結決算だけでなく、単体など他部門も経験して、キャリアを積みながら、会社に貢献していきたいですね。
最後に、会計士へのメッセージをお願いします。
加藤私もそうでしたが、事業会社に出ると、監査法人で通じた“常識”が通じなくて、面食らうこともあるでしょう。ただそこを乗り越える努力をすれば、さっき言ったフットワークも身に付くし、監査とは違ったいろいろな角度から数字が見られるようになるはず。外に目を向けてみようかなという気持ちが少しでもあるのだったら、せっかく制度があるのだから、ステップアップのチャンスととらえて挑戦してみてはいかがでしょうか。
株式会社ファミリーマート経理財務本部 経理財務部 連結決算グループ加藤 奈美
株式会社ファミリーマート上席執行役員 経理財務本部 経理財務部長
海外も含め事業が急速に拡大していくなかで、各部署から経理人材が欲しいという要請がどんどん増え、メンバーを現場に出したりするケースが増えた。そうした事情もあって、スキルの高い経理人材をできるだけ多く採用したいと考えていた時に、日本CFO協会を通じてこの制度を知り、昨年7月に計2名の会計士に来てもらった。
加藤さんには高い会計知識を生かし、通常業務の改善に対する意識や、数字を分析する時のプロの視点というようなところを経理に植え込んでもらえれば、と大いに期待している。入ってまだ6カ月ながら周囲の信頼を集め、監査のスピードアップなどの点でも貢献してくれている。連結決算担当だが、折をみて単体を見ているもう一人の会計士とチェンジして、それぞれ違う現場も経験してもらいたいと思う。